開かれた寺づくりで 信仰、観光、自然の未来をつくる vol.03


各霊場会のパンフレット

各霊場会のパンフレット。百八観音霊場は、中国地方の鳥取県や島根県など全5県、四国は香川県から高知県まで全4県、九州は福岡県から熊本県までの北部5県を合わせて、全部で14県にわたる広域の寺が連携している

 

寺同士が広域で連携参拝者本位の霊場

編集部:宮島という範囲を超え、山陽路、九州や四国での霊場づくりなど、広域連携にも取り組んでいらっしゃるとお聞きしました。その目的は何でしょうか。

吉田座主:中国観音霊場、四国三十三観音霊場、九州西国霊場の3霊場が手を結び、日本で最初の「百八観音霊場」を立ち上げました。元々、観音霊場の全国的なネットワークをつくろうという動きがありました。各霊場の現状をお聞きすると、あまりよい状況ではないとのこと。四国、九州にも声をかけ「一緒に広がりをもってやりましょう」と立ち上げたのです。各霊場の事務局をしていたお寺が大聖院と同じ御室派だったことも幸いでした。そのほか、来年で100周年を迎える「広島新四国八十八ケ所霊場会」もありますが、霊場ブームの落ち着きとともに巡拝する方が少なくなりました。「もっと多くの方に巡拝していただくにはどうすればよいか」と考え、お花の観賞を楽しみながら仏様とのご縁を結ぶ「山陽花の寺二十四か寺」を立ち上げました。広島・山口・岡山3県の24ケ寺を巡る花巡礼で、大聖院は第1番です。平清盛公に関連する巡礼もあります。平家物語にご縁のある寺社で手を結んだ「平家物語巡り」は、兵庫の須磨寺、香川の屋島寺と六萬寺、広島の嚴島神社と大聖院、山口の赤間神宮の6社寺を結んでいます。

霊場づくりで注意しなければならないのは、寺社本位になっていないかと振り返ることです。巡礼するエリアが広域すぎてはお参りする方の負担が大きいですし、数にこだわり魅力のない寺が集まっても皆様の興味を引きません。お寺同士で思いを共有し繋がることで活動が広がり、新たな動きが生まれるのです。最近では神仏一体、御朱印、パワースポットといったキーワードで、新たな霊場が生まれています。今後もさまざまな個性、特色を持った霊場が増えていくことでしょう。

 

全ての原動力は危機感お寺としてできることは何か

編集部:「宮島弥山を守る会」も立ち上げられたそうですが、信仰の継承、地域振興、自然保護と多岐にわたる活動の原動力は何でしょうか。

吉田座主:私の原動力は危機感。お寺の存続、宮島の活性化、弥山の自然を守ることは相互に関係しています。それぞれにおいて危機感を感じ、いろいろなことに取り組んでいます。今、弥山にも危機が訪れています。宮島の川は小さいのですが傾斜が急なため、雨が降ると氾濫し山が崩れます。以前は自然の力で原始林が戻っていたのですが、戻りにくくなりました。植林も検討しています。このような現状を多くの方に知って気づいていただかなければ、弥山の自然を守ることができません。そこで役員の半分は島外の方としました。外部だからこそ見える宮島の現状、評価などを島民に聞いていただき、気づきを得てほしいと思っています。平清盛公は全国規模で名前が知られ、しかも900年という節目のイベントです。お寺のことや宮島のことを知っていただき、信仰を浸透させる種まきにもなる貴重な機会となるはずです。神社も寺も行政も、町民も、みんながかかわることができますから、いろいろな形で盛り立てていきたいと考えています。

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大聖院
真言宗御室派 大本山社 大聖院
〒739-0592
広島県廿日市市宮島町210
TEL.0829-44-0111
http://www.galilei.ne.jp/daisyoin

2017-08-07 | Category スペシャル

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