五條良知(金峯山修験本宗第5代管長/総本山金峯山寺第 31世管領)


情報誌「寺社Now」vol.6より

1300年続く法を守り続けながら 国の軸たる寺として世界へ発信

五 條 良 知(ごじょう りょうち)プロフィール

1964(昭和39)年京都府綾部市出身 大正大学仏教学部天台学コース卒
金峯山寺執行、金峯山修験本宗教学部長 などを歴任
2013(平成25) 年金峯山寺執行長
2015(平成27) 年4月に宗務総長
2015(平成27) 年6月に金峯山修験本宗
第5代管長及び総本山金峯山寺第31 世管領に就任

 

金峯山修験本宗 第5代管長に五條良知師がご就任

編集部:ご就任おめでとうございます。まずは管長ご就任にあたっての抱負をお聞かせいただけますか?

管長猊下:この度管長に就任致しまして、今生いくつまで生かされるかは判りませんがこれから一歩ずつ、時間を掛けて”三界の大導師たる僧侶”となれるよう努力して参ります。
本宗に関わりのある方々、また今後関わりを持たれる方々と、蔵王権現の信仰の道、役行者が描かれた道をご一緒に歩いていきたいと思っております。

編集部:金峯山寺様は長い歴史があると伺っておりますが?

管長猊下:お寺の歴史は1300年前、役行者のご開山以来と古く、同時に吉野大峯修験道として私が何代目になるかは不明です。金峯山修験本宗としては1948(昭和 23)年に独立宗派となってから私が5代目の管長です。
また管領(かんれい)とは、1614(慶長 19)年に吉野の要害と寺院勢力を危惧した徳川家康が天海僧正に命じられてから31世目となります。
長い歴史の中で特筆すべきは、1874(明治7)年の修験道廃止令で金峯山寺が廃寺となり、蔵王堂や山上蔵王堂(現大峯山寺本堂)までお宮さんに変えられたことです。ただその間も信仰は廃れることはなく、多くの方々に支えられ1886(明治19 年に寺院として復興が果たせました。

編集部:修験道について少しお教えいただけますか?

管長猊下:よく「自然と共生する」と言いますがとんでもないことです。私たちは自然と共に生きているのではなく生かされているんです。それを分かって「ありがたい」と思った時、人や自然とのつながり方が変わります。それを実践しているのが修験者(山伏)だと思います。
私どもは在家宗教です。山で修行し里に帰り、山で形成された人格を普段の生活に活かし他の人に手を差し伸べられるよう修行します。修験道は 「実修実験」と書き「実際に自分で行い、実際に験(しるし)を得る 」、つまり「自身で行い悟りを得る」ということです。それは難しいことではなく、例えば法事をお坊さん任せにするのではなく、お坊さんと一緒に拝む。ご祈祷するなら自分もご祈祷していただく気持ちになって座る。「一緒に行う」、それが「実修実験」の入口です。

 

光を観る – 本当の観光のためには一生懸命努力する

金峯山寺-p02

編集部:吉野は「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されていますが、それをどのように思われますか?

管長猊下:吉野は桜のイメージが強く観光地化を目指したことがありましたが 、元々は蔵王権現のご神木である桜をお供えしたいというお気持ちが1000年続いて桜の名所になったんです。桜は権現様の木であり金峯山寺があり門前町があり蔵王権現がいらっしゃる。そこに山伏がおり人々が集まる。
最近は、そのようなつながりをご理解頂けるようになりました。吉野は世界遺産ですが、お寺をいわゆる観光寺院にするつもりはありません。本当の観光、つまり「光を観る」ためにおいでになる方が喜んでいただけるためには努力します。

編集部:お寺と地域振興との関わりについてご意見をお聞かせ下さい。

管長猊下:蔵王権現を拝んだ時の蔵王堂の空気や、山の中の護摩道場で手を合わした時の感じなどを実感してもらう事が言葉よりも説得力がある。それには多くの人に来て頂かねばなりませんから、地域と連携して多くの人を呼んでもらう。
例えば、蔵王堂の前で音楽コンサートを開催されています。歌舞音曲は仏様や神様の世界から始まっていますから、今後もどんどん進めていただきたいです。
他にも、法要や皆さんと協力したイベントなども増えています。お寺に人が集まれば地域が良くなり、文化財を守ることにもご協力いただき、またお寺も良くなる。地域振興とお寺の活動には重なる部分が多くあるんです。だから地域にどんどん良くなっていただきたいと思います。

 

来る100年に伝える 「懺悔• 感謝• 祈り」 の心

編集部:最後に今後に向けてのご決意をお聞かせ下さい。

管長猊下:信仰は、 懴悔 ・ 感謝・祈りが必要です。祈りのないところには何も生じません。
また、宗教には「変えてはいけないこと」「守り続けなければならないこと」が多くあります。国軸山という山号を持つ金峯山寺は、国の軸たるべき寺として懺悔と感謝と祈りの心を持ち、1 3 0 0 年続いてきた修験道の法を曲げずに次の1 0 0年にそのまま伝えていく。この寺が踏ん張らないと日本が揺らぐ、蔵王権現がガッと踏ん張っておられるから日本が踏ん張れる。 そんな思いでここを守って参ります。
さらに、法を守り続けてきた人、これから守り続ける人と共に世界に発信を続け、日本の力となれるよう頑張っていきたいと思います。

金峯山寺-p03

世界文化遺産 金峯山修験本宗総本山 國軸山 金峯山寺
〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山2498番地
TEL.0746-32-8371 http://www.kinpusen.or.jp

2015-10-21 | Category インタビュー

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