400 年の眠りから醒めた四国最古の禅寺 真光山城満寺


情報誌「寺社Now」vol.6より

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曹洞宗真光山「城満寺(じょうまんじ)」は、四国最古の禅寺である。1291( 正応4)年、大本山總持寺の開祖である瑩山紹瑾(けいざんじょうきん)禅師により開山、1575(天正3)年、戦火により焼失し廃寺となる。かつて幻の寺と伝えられていた城満寺が、今、徳島県最南の海陽町の小高い聖地に、400年の時空を越えて姿を見せている。
名刹「城満寺」の復興再建の裏には、宗門や地元を含む多くの先哲先人の熱い思いがあり、今なおその思いが着実に人々の中に浸透し続けているという。現住職の田村航也師にお話を伺った。
 

念願の復興を成し遂げた、大槻哲哉前住職の不屈の想い

戦国時代の戦乱に巻き込まれて焼失した城満寺。その復興機運が高まるのは大正時代以降である。しかし、高名な2人の老師が復興に取り組むが、いずれも時勢という壁に阻まれ、本格的な復興を果たすのは1969(昭和44)年迄待たねばならない。
先哲の意志を継ぎ、復興を成し遂げたのが前住職の大槻哲哉師である。戸田吾雄師が1925(大正14)年に城満寺復興計画を発願、全く何もない山間に仮堂宇が建てられる。そして1946(昭和21)年に渡辺頼応師が入寺。念願の寺号復活を果たすも再建は進展せず、復興時に在ったのはこの仮堂宇だけだった。
 

1924(大正13)年に城満寺復興の ため仮堂宇として建てられた旧城 満寺。その後、本格的な復興を遂げる1997(平成9)年まで約70年 の歳月が必要だった 仮堂宇として建てられた旧城 満寺。本格的な復興を遂げまで約70年の歳月が必要だった

1958(昭和33)年から11年間の無住を経て、1969(昭和44)年に城満寺に赴任した大槻哲哉前住職。当時の復興の苦労を田村航也現住職は次のように語る。

「城満寺は誰もがお参りして集えるお寺で檀家を持ちません。復興を叶えるために、大槻哲哉前住職はひとり日本全国を托鉢
し、このお寺の大切さと再興への強い想いを伝えて廻りました。その成果を得て現在の城満寺があるのです」

大槻哲哉前住職の真摯な取り組みと不屈の熱意がやがて地元民の好感を得て支援の声が自然と高まる。さらに大本山總持寺と信徒の協力も得て、1992(平成4) 年に大本山總持寺の寄進で同寺の跳龍室の一部を移築し山門を建立。1997(平成9)年、本堂の落慶法要に至るのである。しかし、大槻哲哉前住職は怪我によって、待望していた座禅堂の完成直前に療養生活に入る。そしてその復興への想いは田村航也現住職へしっかりと継承される。
 

本山より寄進された山門 本山より寄進された山門

 

復興を遂げた大槻哲哉前住職の、想いを受け継ぐ若き住職の誕生

2011(平成23)年、32歳で城満寺の住職に抜擢された田村航也現住職。当時東京大学の大学院で仏教の研究に取り組んでいたものの、城満寺復興を願う人々の想いや縁に突き動かされこの地へ赴く。

「住職が不在なため城満寺を後見されていた、總持寺の元貫首板橋禅師より城満寺の住職のお話をいただきました。最初は出家したお寺をお守りするつもりでしたのでご辞退したのですが、曹洞宗太祖瑩山禅師が開かれた由緒あるお寺が空き寺になるという憂慮や、焼失した城満寺を何もない野原から復興させた、大槻哲哉前住職の強い想いも受け継ぎたいと感じ、これもご縁ですので住職をさせていただくことになりました」

今では田村航也現住職のその信仰の深さやその姿勢に魅せられた人は多く、城満寺をより良くしようと多くの人が協力するようになる。また英語や韓国語が堪能なため海外からも多くの修行僧が坐禅にやってくる。2015年8月には徳島県の紹介でイングランドのセントポールズ高校ラグビー部が同寺で宿坊体験をしている。
 

今年の夏城満寺に訪れたイングランド・セントポール ズ高校ラグビー部のメンバー。城満寺にはアメリカ人 僧侶も在籍している 城満寺に訪れたイングランド・セントポールズ高校ラグビー部のメンバー。城満寺にはアメリカ人 僧侶も在籍している

「私は、お寺は人々の善意が自然と集まって形になる場所だと信じています。そのため、禅の教えを守りながらできる範囲の活動をし、より人々が幸せになる空間にするための努力は惜しみません。現在の城満寺があるのも多くの方々の想いを繋げた結果です。そういった人の輪を広げる活動をここで続けていきたいです」

と田村現住職は語る。激動の歴史を経て今に蘇った城満寺。その歴史にはひとつの目標に向かって本山、僧侶、地元が手を組み再興を成し遂げるという、熱い思いが刻みこまれている。
 

城満寺の復興を成し遂げた大槻哲哉前住職 城満寺の復興を成し遂げた大槻哲哉前住職

 

田村 航也(たむら こうや)プロフィール
曹洞宗真光山城満寺住職。1979(昭和54)年11月20日生まれ、35歳。
神奈川県出身。2003年(平成15)年東京大学文学部(インド哲学仏教学)卒業。2012年(平成24)年同大学院卒業。
大学院にて研究を継続しながら大本山總持寺にて修行を積む。海印寺(韓国)での講義など海外でも活躍。2011(平成23)年城満寺の5代目住職に就任。

国内外から多くの人々が集まる僧堂
曹洞宗 真光山 城満寺(じょうまんじ)
 
〒775-0308
徳島県海部郡海陽町吉田
TEL.0884-73-2093
http://jomanji.web.fc2.com/

2015-10-21 | Category インタビュー

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