山本幸三(自民党観光立国調査会長)


情報誌「寺社Now」創刊号より

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山本幸三(やまもと こうぞう)プロフィール
1948年8月8日生まれ、66歳 1971年東京大学経済学部卒業、大蔵省(現財務省)入省
1993年7月衆院議員初当選。経済産業副大臣、
自民党政務調査会副会長などを歴任。
現在6期目。福岡10区。

自民党が2013年1月に設置した「観光立国調査会」。山本幸三衆院議員は、米国コーネル大経営大学院への留学、同ハーバード大国際問題研究所の客員研究員などの海外経験で身に着けた国際感覚を買われ会長に就任。観光立国日本を目指す思いを聞いた。(聞き手 寺社Now・和泉かよ子)
 

神社仏閣は海外に向け体系的情報発信が必要

和泉
日本が人口減少社会に転じる中、観光産業にとって外国からの旅行客を増やすことが重要な課題です。これまでの政府の取り組みをどう評価しますか。
山本
昨年は史上初めて外国からの旅行客が年間1000万人を突破しました。各省庁を説得し、調整して進めてきた政権の政策方針に、大きな手応えを感じています。

ASEANの経済発展に期待

山本一つはビザを免除・緩和する対象国を広げたことが大きいと思います。日本への入国が「狭き門」ではどうにもならない。治安の悪化などを心配する外務省、法務省、警察庁と話し合い、まず韓国、台湾の東アジアから、次にASEAN(東南アジア諸国連合)の国々で緩和を進めています。タイとマレーシアは既に効果が出ていますし、ベトナム、フィリピン、インドネシアはこれからでしょう。ASEANは経済発展の最中にあり、一昔前の東南アジアのイメージで見ていてはいけません。もう一つは、ショッピングの充実です。観光客がお土産物を買いやすいよう消費税免税の対象商品を拡大しました。テレビやカメラといった電化製品などに限られていたのを、10月1日から全商品が対象になりましたし。外国人観光客には、お菓子や化粧品などもお土産物としてとても人気が高いんです。

 

個人旅行の増加は寺社に新たな可能性

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和泉
観光立国調査会は提言の中で「文化遺産を観光資源として積極的に活用する」と述べていますが、神社仏閣を外国人観光客増にもっと生かすにはどうすればいいでしょうか。
山本
体系的な情報発信が不可欠です。どんな素晴らしい神社仏閣でも、存在を外国の人に知ってもらわなければ来てくれません。日本の寺社の魅力を体系化して、各国の言語に訳しインターネットで海外に発信する必要があるでしょう。「これを見たら日本の寺社のことはだいたい全部、分かる」と思ってもらえるような。外国人旅行客の増加で面白いと思ったのは、最初はメニューが決められた団体旅行で日本に来た人が、次は行きたい所を自分で決めて個人旅行でリピーターになるんだそうです。飛行機や宿の予約もインターネットで。団体旅行の東京、富士山、京都という定番コースを卒業して、もっと深い所に入って行こうという密度の濃い個人旅行に、寺社観光はまさにぴったりで、観光資源として大きな可能性を秘めています。
先日、テレビで、鎌倉の大仏を拝んでいるミャンマーからの旅行客が紹介されました。ミャンマーでは建物の外にある大仏が珍しいのだそうで、お土産に大仏のミニチュアを50個ぐらい買っているんです。「これを家に置いて拝んでいたら、また日本に来ることができる」と言っていました。ミニチュア大仏は単なるお土産じゃなくて、無病息災や健康長寿を願う信仰の対象にもなっているんです。タイやミャンマーなど仏教国に日本の寺社観光を打ち出すのも効果的かと思いました。どこか相通ずる所があるんですね。
和泉
旅行のガイドブックに載る有名で大規模な寺社だけでなく、規模の小さい所にまで外国人が来てくれるようになるといいのですが。
山本
先ほど述べた「体系的情報発信」の一方で、ツイッターなど個人の情報発信もあなどれません。外国人観光客で栄えている北海道のニセコは、スキーに来たオーストラリア人が「雪質が素晴らしい」とインターネットで発信したのが発端で注目が集まりました。オーストラリアで人気になり、その後、ニュージーランド、マレーシア、シンガポールなどからもスキー客が来ています。寺社も、そこを訪れた外国人観光客に魅力を広めてもらうような仕掛けをすることで、常に飛躍のチャンスがあります。
規模の大小にかかわらず、寺社の雰囲気は外国人にとってとても神秘的です。小さな寺社の季節の行事に観光客が参加できるようにするのもいいですし、四国八十八カ所を巡るなんてのも面白いでしょう。こういう深みのある「体験型」のツアーを企画すれば、外国でまだ知られていない日本の魅力をもっと広めることができると思います。

 

地方の観光戦略は地方空港の活性化から

和泉
規模の小さい寺社への観光に代表されるように、地方の観光戦略に具体的な政策案はありますか。
山本
地方空港の活性化を進めたいです。今の外国人旅行客は東京や大阪の空港から入国するのが一般的で、そこから地方に行くのは時間もお金もかかります。地方空港の着陸料を無料化もしくは大幅に減額し、海外から直接、地方空港に乗り入れてもらえないかと思います。地方には面白いお祭りもあるし美しい景色もある。神社仏閣を楽しみつつリゾート気分も味わえます。ホテルが足りなければお寺や神社に宿泊してもらってもいいのでは。
着陸料無料化や減額は財政負担が発生するので、財務当局との話し合いが必要です。日本はまだまだ観光関係の予算が少ないんです。お隣の韓国とだって比べものになりません。我々は予算の倍増を要求して頑張っていきます。

 

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2014-12-07 | Category インタビュー

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