人は死んだら、どこに行くの?! 中之島香雪美術館「来迎(らいごう) たいせつな人との別れのために」展(4/9-5/22)

第1章:源信の来迎図

左)重要文化財「阿弥陀聖衆来迎図 」鎌倉時代 13世紀(奈良 興福院) 展示期間:前期、右)「阿弥陀聖衆来迎図」 南北朝時代 14世紀(香雪美術館)

平安時代の中期、貴族を中心に末法(まっぽう)思想が流行した。これは、釈迦入滅後1500年となる永承7(1052)年を境として、釈迦の正しい教えが廃れ、国土も人心も衰退していく「末法」の世に突入するいうもの。そうした時代背景の中で、末法の世から脱却し、理想の世界「浄土」へと生まれかわることを切実に希求する「浄土信仰」が隆盛した。

この浄土信仰とその後の日本仏教の展開に多大なる影響を及ぼしたのが、天台宗の学僧・源信が著した極楽浄土へ往生するための指南書 『往生要集(おうじょう・ようしゅう)』である。「来迎図」も源信が創案し、自らも描いたと伝えられている。本展第1章は、源信にまつわる来迎図からスタートする。

第2章:円陣来迎の系譜

左)土佐行広 筆「阿弥陀二十五菩薩来迎図」 室町時代 永享2年頃(香雪美術館)、右)「阿弥陀二十五菩薩来迎図」 鎌倉時代 13~14世紀(京都 三千院) 展示期間:前期

来迎図に、「円陣来迎」と呼ばれるジャンルがある。阿弥陀如来のまわりを菩薩が取り囲むようにして来迎する様子から付けられた通称だ。観音菩薩と勢至(せいし)菩薩、およびそれぞれに楽器や供養具を携えた25人の菩薩たちが、中央にひときわ大きく表現されている阿弥陀如来をぐるりと円く取り囲んでいる。第2章では、円陣来迎図の系譜をたどる。

次ページ:第3章「観音と地蔵の来迎」・第4章「浄土を想う」

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監修:全国寺社観光協会

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