人は死んだら、どこに行くの?! 中之島香雪美術館「来迎(らいごう) たいせつな人との別れのために」展(4/9-5/22)

第3章:観音と地蔵の来迎

重要文化財「稚児観音縁起絵巻」(部分) 鎌倉~南北朝時代 14世紀(香雪美術館) 奈良・興福寺 菩提院大御堂に祀られている十一面観音菩薩像の縁起を絵と詞(ことば)で表している絵巻。病で亡くなった稚児が五七日後に長谷寺観音の化身として棺の中から現れて虚空に飛び去った

「矢田地蔵縁起絵巻」 室町時代 15世紀(香雪美術館) 奈良・金剛山寺(通称:矢田寺)の本尊として祀られている地蔵菩薩立像の縁起が描かれている。幼くして父を亡くした武者が、非情な継父を恨み、殺害しようとしたが、誤って実母を殺めてしまった。武者は、懺悔のために矢田寺へ月参りをして母を弔ったが、死後に無間地獄へ堕ちる。これを矢田地蔵が救い出して蘇生させた。中世以降、矢田寺へ毎月特定の日に参詣すると、生前の罪が消え、死後の地獄の責苦から救ってくれると信じられてきた

観音と地蔵も、来迎図の中で重要な一員として登場する。往生者を迎え取り、極楽浄土への橋渡し役となる。元来、現世で苦しむ人々を救済する地蔵は、死後に地獄に堕ちてしまった人のもとへも来迎すると信じられた。第3章では、観音と地蔵をに焦点を当てて来迎が語られる。

第4章:浄土を想う

左)重要文化財「智光曼荼羅」 鎌倉時代 14世紀(文化庁)展示期間:前期、中央)「阿弥陀三尊像」 中国 南宋~元時代 13世紀(香雪美術館)、右)「阿弥陀三尊像」 鎌倉時代 14世紀(香雪美術館)

重要文化財「二河白道図」 鎌倉時代 13世紀(香雪美術館) 欲も、憎しみも、怒りもなく、一途に信じつづければ極楽に往ける、という世界観をヴィジュアルに描いている。絵の上部(西方)が極楽浄土で、下部が現世。現世の最下部には四苦(生老病死)が描かれている。絵の中央部に、左側(南)に赤い火河と右側(北)に水河。2つの大河の真ん中に、現世と極楽浄土を結ぶ白く細い道がある。待ち受ける障害を乗り越えて白道を渡りきるとその先に阿弥陀如来がお迎えにきている

第4章では、「浄土図」の世界が展開される。浄土図とは、阿弥陀如来に導かれて向かう極楽浄土を描いている仏画のこと。浄土は、煌びやか、かつ、清らかで、衣食にも困らず、苦しみもない。人々はそのような浄土に思いを馳せ、切望した。

次ページ:第5章「それぞれの来迎の夢」・第6章:たいせつな人との別れのために

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監修:全国寺社観光協会

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