寺社Nowエゴドキュメント【京仏師・宮本我休】火災で焼け焦げた木材から釈迦如来を彫像する《前編》

ノミ入れ式から4ヵ月、ようやく彫刻スタートです。

木というものは人と同じで、環境が変われば動揺するものです。伐採されて100年以上たったこの欅(けやき)でも、工房に帰れば割れが入ったり反ったりと暴れだしたので、数ヶ月暗所で寝かすことにしました。

その甲斐あって、木も落ち着いてきたので彫刻を開始することができました。ノミを入れると、まるでつい最近切られたかのように生き生きした木肌があらわれ、改めて木という素材のすごさを実感させてくれます。

欅(けやき)は、固くて彫るのも時間がかかりますが、こうした木がもつ神秘性を感じながら楽しんで彫刻していきます。

ところで今回、時間がかかるお釈迦様よりも先に、燃え残った木材からお位牌も製作して納品させていただきました。火災を生き残った木ですから、なるべく表面の加工はせず、木地そのまま白木の状態で完成としました。何世代にもわたって引き継いでいっていただければと思います。

後編につづく

 

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監修:全国寺社観光協会

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