マル秘ノウハウ&機材全公開!噂の平等寺24h365日ノンストップLIVE配信の秘密【四国八十八ヶ所霊場第22番札所・平等寺】

仏教の教えを、届けるべきところに届けたかった

ところで、ライブ配信を一定の時間に限定せず、24時間にした理由は何なのか?

「寺院はいつでも、気が向いたときに訪れてもらえるところだと思っています。だからライブ配信も、視聴者の気が向いたときに視聴し、お参りしてもらいたいのです。視聴してくれている方々からコメントをいただくことも多いのですが、行きたいけど行けないと言ってくださる方が結構いたことを知りました。その中にはコロナ禍の移動自粛以外が理由の人も。病気を治したいと思っている人は病院にいるし、高齢の方は施設に入居しているし、そもそも思うように遠出できない人も多い。当たり前のことですが、ライブ配信であらためて、これまで仏教の教えを届けたい人に届けられていなかったことに気づきました」

谷口真梁住職。着ているのは、谷口住職の「仏教ハンバーガー宇宙論」のライブ配信を見た視聴者が作って送ってくれたという、お気に入りのハンバーガーTシャツ

また、対視聴者ではなく、自身の宗教活動にも変化があったと谷口住職は言う。

「リアルの場では、加持祈祷の際に相手が疲れることを考えて30分以内に終わっていましたし、護摩祈祷の場合は太鼓を叩いたり炎が上がることを考えてもいました。それがライブ配信という、リアルの場に私以外いない状況になり、勤行や加持祈祷は長時間できるし、護摩にも集中できるようになりました。マイクで集音しているので、必要以上に音を出す必要もありません」

配信ではコメントを受け付けているほか、平等寺のホームページから祈祷を申し込めるようにもした。祈祷の申込みは今や、多い時で1日250件近くにのぼる。

「全国の視聴者から寄せられる相談に答え、祈祷のお願いを受けて真剣に祈る。これが徳島の田舎にいながらできるわけです。つまり私が望んでいた宗教活動が、オンラインを活用したことで可能になりました。と同時に、宗教活動がリアルの場でしかできないと考えていた自分のことが、恥ずかしく思えました。参拝してくれたお遍路さんを楽しませるために境内を美しくしたり、参拝者の前に出て話をし、寺院の個性を出すためにお守りを新しくしたりグッズを考えたり。これは宗教活動ではなく、観光施設としての魅力づくりのようなものだったのです。私がやってきたのは、お遍路観光寺院をつくることだったのだ、と」

参拝者が訪れることを前提とした宗教活動から、ライブ配信を通じて仏教の教えを届けるスタイルへ。無人の映像時より朝夕の勤行時の方が、視聴者数は倍近く多いことがわかり、グーグルカレンダーで毎月の予定を公開し、朝夕以外でも自身がご本尊の前にいる時間を視聴者に知らせるようにした。当初はコメントに答える程度だったが、「もしかすると視聴者の中には、僧侶とのコミュニケーションを求めている人が多いのかもしれない」と感じ、寄せられる質問に答えるライブ配信も定期的に行うようにした。

その結果、視聴者のコミュニティができ、Amazonのほしいものリスト「平等寺へのお供えもの」を作成したことで、お供えが全国から届くようにもなった。

「24時間ライブ配信を始めるからには、求めている人に届くように本気でやる、そう心に決めました。それから1年、多い時で1日500人近い方に視聴してもらえるようになりました。オンラインで完結する宗教活動というのも、これからの時代にはあっていいのではないでしょうか」

不具合があればすぐに対応できるよう、本堂脇にパソコンやモニターを集め、微調整を行う

細かい設定も気になったらその都度変更している谷口住職

大切なのは誰に、どのように仏教の教えを届けたいのか。ライブ配信を始めたことによって、その思いと真摯に向き合えるようになった谷口住職。この先はオンラインで一対一の相談を受けたり、四国八十八ヶ所霊場内でオンライン宗教活動の輪を広げていくことも考えている。


高野山真言宗 準別格本山平等寺
住所:徳島県阿南市新野町秋山177番地
TEL :0884-36-3522

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監修:全国寺社観光協会

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