災害時連携5年で3割増 南海トラフ地震などに備えて宗教施設と自治体の協力拡大

 

2024年12月20日、大阪大学大学院人間科学研究科の稲場圭信教授らによる「災害レジリエンスを高めるための基盤調査」報告会が開催され、全国自治体の防災システムと宗教施設との災害時協力に関する最新の実態が明らかになった。

まず、全国1741自治体を対象とした防災システムの調査(回答:1143自治体、回収率:65.7%)では、約6割の自治体が「システム導入や維持にかかるコストの高さ」、約5割が「職員不足による運用の困難さ」を課題として挙げた。また、4割以上の自治体が「避難者の既往症や薬の情報を把握できない」と回答しており、防災・減災システムの整備に向けた課題が浮き彫りになった。調査結果は今後、産官学社連携による具体的な改善策の立案に活用される予定だ。

一方、自治体と宗教施設の災害時協力についての調査では、過去5年間で連携の進展が確認された。災害対策基本法に基づく緊急避難場所に指定されている宗教施設が861カ所、避難所として指定されている施設が385カ所あることが判明。また、災害対策基本法に基づかない一時滞在施設として利用されている宗教施設も573カ所にのぼる。自治体と宗教施設の災害時協定の締結数は5年間で41.3%増加し、連携が拡大していることがデータから示された。

稲場教授は「自治体と宗教施設の連携は災害対応力の向上に寄与する可能性が高い。調査結果を基にさらなる実質的な取り組みを進める必要がある」と強調。調査結果は、南海トラフ地震なども備えた災害に強い地域づくりを目指すうえで、宗教施設の役割を議論するための重要な契機となる。

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【出典:大阪大学 人間科学研究家/人間科学部HP】

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監修:全国寺社観光協会

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