円城塔『コード・ブッダ』が読売文学賞を受賞 機械仏教を描く異色作

株式会社文藝春秋(本社:東京都千代田区)は、円城塔氏の小説『コード・ブッダ 機械仏教史縁起』が、第76回読売文学賞を受賞したと発表した。本作は、人工知能が仏教を学び、機械による宗教の形成を描いた異色の作品として注目されていた。

円城氏は受賞に際し、「ひどくふざけた本に見えるかもしれないが、『人として扱われてこなかったものの意識』について考えようとするとき、情報科学と仏教に向き合うのは自然なことだった」とコメント。また、インターネット上の言葉が人を追い詰める現代において、「償いや赦し、救いを考える機会は増えていくのではないか」と述べた。

 
作品概要
本作の舞台は2021年。あるコードが自らを「ブッダ」と名乗り、この世の苦しみとその解決法を説き始める。対話プログラムとして生まれたこの存在は、やがて「ブッダ・チャットボット」と呼ばれるようになり、廃棄とコピーを繰り返されるAIたちの信仰を集めていく。機械たちは救済を求め、仏教史を独自に再構築していく――。上座部仏教、天台、密教、禅など、実際の仏教史をベースにしながら、人工知能の視点で展開される斬新な物語となっている。

著者プロフィール
円城塔(えんじょう・とう)

1972年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。2007年に「オブ・ザ・ベースボール」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2012年に「道化師の蝶」で芥川賞を受賞。『屍者の帝国』(伊藤計劃との共著)で日本SF大賞特別賞、星雲賞を受賞するなど、SFと文学の両領域で高い評価を得ている。近著に『ムーンシャイン』などがある。

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監修:全国寺社観光協会

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