臨済宗建長寺派・林香寺(神奈川県横浜市)の住職であり精神科医でもある川野泰周による新著『しあわせ習慣』が、3月15日に世界文化社から出版された。禅とマインドフルネスの智慧を、現代人とくに女性の心のケアに応用した一冊である。
川野は、禅の実践者としての立場と精神医療の専門家としての視点を併せ持つ稀有な存在。現在も寺務と並行して、睡眠・呼吸専門のクリニックで診療を続ける。著書では、呼吸瞑想や歩行瞑想をはじめとする基本的な修養法から、家事や趣味を通して心を調える具体的な実践法までを丁寧に紹介している。
「淹れる」「拭く」「磨く」といった日常の家事を、意識を込めて行うことで、仏教の根幹でもある“今を生きる”という姿勢が育まれる。こうした「家事でマインドフルネス」に加え、趣味を楽しみながら癒やしを得る「趣味でマインドフルネス」も提唱されている。
各章では、不安や生きにくさ、自己否定感といった現代的な悩みに向け、呼吸法や瞑想法を紹介。慈悲や感謝を養う「慈悲と願いの瞑想」「感謝の瞑想」なども収録され、自他への思いやりを育む内容となっている。
書中には「照顧脚下」「自灯明」など、禅語も多数引用。川野が住職を務める林香寺では、日常に寄り添う法話や坐禅会も開かれており、本書もまたその延長線上に位置づけられる。
「習慣が人を変え、心を整える」。禅の現場から発信されるこの一冊が、慌ただしい日常に一滴の静けさをもたらす。
【出典:PRTIMES 2025年3月13日】