ミシュラン2つ星獲得!シリーズ「参道をゆく」①曹洞宗大本山永平寺(福井県永平寺町)〝禅の里〟のまちづくり〜自治体と共同で未来へつなげる門前再構築プロジェクト〜

文化としての永平寺を未来へつなぐために

「親禅の宿 柏樹關」の開業に至るまでには、幾度もの協議が積み重ねられてきた。

「大切にしたのは、宗教を文化と捉えた時に、後世につなぐべきものは何なのかを考えることでした」と、永平寺・禅の里事業推進室の三輪俊明事務室長は語る。

永平寺と福井県、永平寺町の三者は、永平寺がある志比谷(しひだに)全体を「禅の里」と捉えた。永平寺が、禅文化を伝え、新たな形で広めていくひとつの場所として滞在所を誕生させより多くの人に訪れてもらうために福井県と永平寺町がそれぞれできることを担当するという役割分担である。

「柏樹關が誕生した門前をどう活性化していくか、そこに向けて動いています」(三輪和尚)

永平寺町は永平寺口駅から永平寺まで、かつて鉄道が走っていた廃線跡を「永平寺参ろーど」と名付けて整備し、永平寺と禅を目的に多くの人が訪れることのできる施策を検討中だ。その一環として、永平寺口から参拝者を自動運転車で運ぶ実証実験もスタートした。

また福井県は、禅に興味を持ち、体験する人が増えるように事業を推進したいと考えている。目指しているのは、門前に人の流れを新たに生み出すこと。たとえば、自動運転車で訪れた人が、今回整備した参道を歩いて永平寺に参拝し、帰りは門前町を楽しめるように、新たな施設の建設やプログラムの立案などを考えている。

「古くて最先端の場所。そんな門前にしていきたいと考えています」(三輪和尚)
寺院と地元行政との先駆的な共同事業が、新たな門前の姿を生み出していく。

永平寺町が参道改修に際して設けた観光案内所には、AIが自動で観光案内をしてくれる仕組みも導入。訪日外国人が禅の里をスムーズに体験できるよう、多言語にも対応している

旧来の門前には、各地でよくあるように団体旅行時代の名残ともいえる土産物店が並んでいる。こうした問題点にまで踏み込んで門前の再構築を考えている

大本山永平寺
禅の里事業推進室
TEL:0776-63-3102
公式ホームページ:https://daihonzan-eiheiji.com/
永平寺
親禅の宿 柏樹關
住所:福井県吉田郡永平寺町志比6-1
TEL:0776-63-1188(9:00〜20:00)
公式ホームページ:https://www.hakujukan-eiheiji.jp/
アクセス:
[電車・バス]
・えちぜん鉄道・永平寺勝山線「永平寺口駅」から京福バス「永平寺行」に乗車(13分)、終点より徒歩3分
・福井駅東口より京福バス「永平寺ライナー」に乗車(約30分)、終点より徒歩3分
[自動車]
中部縦貫自動車道「永平寺参道IC」より約5km(約10分)
宿泊者用無料駐車場あり

※雑誌「寺社Now」28号(2019年11月発行)を元に再構成

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監修:全国寺社観光協会

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