新聖地探訪!松岡正剛館長、隈研吾デザイン☆角川武蔵野ミュージアム 「武蔵野令和神社」の秘密【ところざわサクラタウン】

人間と自然が折り合ってきた悠久の大地、武蔵野の地にオープンしたまったく新しいコンセプトの文化複合施設。KADOKAWAが展開する「ところざわサクラタウン」のランドマークとして位置づけられている。アート、文学、博物のジャンルを超え、あらゆる知を再編成した、世界でも他に類を見ないユニークなミュージアムが出現した

「うるわしきやまと」=クールジャパン!

神社のある所沢市は、「令和」の典拠となった『万葉集』の舞台・武蔵野に位置する。「うるわしきやまと」=「麗しい日本」のことであり、すなわち「クールジャパン」を意味しているという。

「武蔵野令和神社を含む〝ところざわサクラタウン〟の建設は、元号が変わる前に決まっていました。そうした中で元号が令和に決まり、これはまさにこの神社の名前にもぴったりなのではないか、と中西先生はお考えになり、社名を決められたようです」(小川泰弘宮司)

角川文化振興財団の理事でもある国文学者の中西進氏は、万葉学者としてKADOKAWAが出版する書籍などで執筆、言霊(ことだま)を紡いできた。

日本を代表する国文学者であり、万葉集研究の第一人者でもある中西進氏

「『令』は『令嬢・令息』と使われるように、形が整って美しいさまを表します。自らを律して気高く生きる、その精神性が持つ気品ある端正な美。これが私の感じる『令』の語感であり、うるわしいという日本語に最も近いと思っています」(武蔵野坐令和神社公式HPより)と神社の名前に込めた意味と思いを語っている。

ミュージアムこそが真の御神体!?

武蔵野令和神社は、岩肌が剥き出しになっているかのような外観の角川武蔵野ミュージアムに向き合うかのように建っている。

「実は、ミュージアムと神社は対になっていて、社殿の正面は鉄の鳥居があるガラス張りの面のほうではなく、ミュージアムと向かいあった、絵馬のかけてある側が正面なんですよ」(小川宮司)

武蔵野令和神社は、ガラスの奥に拝殿が見えるため、そちらが正面だと勘違いしそうだが、正面は絵馬が掛かっている側

実はこの土地は、所沢浄化センターの跡地だが、日本列島を分断するフォッサマグナ(中央地溝帯)の真上にあたる。日本では古くから、この地溝帯の上に多くの神社や寺院が存在してきた。

フォッサマグナ周辺は災害が多く、そのための祭祀が行われていた、あるいは東西の文化の境目だったなどさまざまな説があるが、この土地が特別な場で在り続けてきたことは間違いない。建築家の隈研吾氏は、デザインに土地の成り立ちやその神秘性を取り入れた。

「調べるとこの辺りは、古くから水不足に悩まされていた地域でもあったようです。研究者の間では、このフォッサマグナを東西の境目として、気候風土のみならず、人々の文化や生活様式などが大きく変化しているとも言われています」(小川宮司)

そうした特別な地層の上に施設を作るということで、建築デザインを担当した隈研吾氏はまず、角川武蔵野ミュージアムを武蔵野台地の地殻から隆起したようにそびえたつ“地殻建築”にしようと考えた。

武蔵野坐令和神社の小川泰弘宮司は、角川財団の神社事業部事業部長でもある

「神社はなぜそこにあるのか、と考えると、多くは御神体が位置する場所だからではないでしょうか。山や滝、木、岩など、その地域の人たちが古くから御神体と崇めてきた場所があるからこそ、そこが聖地になっていく。神社があるから聖地なのではなく、聖地があるから神社があるのです」(小川宮司)

そういった観点からすると、隈研吾氏は、フォッサマグナの地層を切り出したような岩倉であるこのミュージアムを〝御神体〟と解釈したであろうと想像される。

ミュージアムは、古代から信仰の対象として祭祀の中心であって岩倉(磐座、いわくら)であり、そこにアニマ(ラテン語で生命や魂)が宿る。そう考え、“目には見えないもの”を作り上げていくことをテーマに作られたと解釈できる。

そもそも〝ミュージアム〟という言葉は、ギリシャ語の「ムーセイオン」に由来する。ムーセイオンとは、ムーサ(学芸をつかさどる9人の女神の総称。 英語でミューズ)の神殿を意味している。つまり神社もミュージアムも、核心に「神」が宿るという点において共通しているのだ。

正面から見た武蔵野令和神社。夜は鳥居がライトアップされる

夜の鳥居。2021年夏「ところざわサクラタウン七夕まつり」の風景

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監修:全国寺社観光協会

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