地域に開かれた神社をめざして
それにしてもなぜ文化複合施設に神社があるのだろうか。聞くところによるとこの神社は、株式会社KADOKAWAの〝邸内社(ていないしゃ)〟だという。
〝邸内社〟とは、個人の邸宅や企業の敷地内にある祠(ほこら)のこと。神社と名が付いているが、その多くは個人や会社が建立しているため、一般に開放されることもなく、また、神社本庁が包括する神社であることも珍しい。
ところが武蔵野令和神社は、「地域に開かれた神社」となることが当初より計画されており、建立後には周辺住民の要望を受けて七五三や新年の祈祷を行うなど、地域が神社に期待することを実現する活動を積極的に展開し、また発信している。
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開かれた邸内社にコンテンツの神が坐す
「所沢市からこの土地を購入することになったKADOKAWAは、ここを文化の発信地にしようと考えました。ところざわサクラタウンは、書籍製造・物流工場、オフィスが中心施設ですが、地域の人たちに集まっていただける場所にするため、イベントホールや飲食店、グッズや書籍のショップ、ミュージアムなども併設しています。武蔵野令和神社は、事業と地域の安全・繁栄を願って作られたのです」(小川泰弘宮司)
邸内社は、通常は神職が常駐しない。しかし武蔵野令和神社は、ところざわサクラタウン内の「祈りの場」「憩いの場」「賑わいの場」となることを存在意義として掲げ、地域に開かれた邸内社として自分たちでまつりごとも行えるようにと、宮司が常駐している。 小川宮司は、角川財団の神社事業部事業部長であり、また事務局長補佐でもある。神社建立に際して神職の資格を取得した。
武蔵野令和神社は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)と、地域に祀られていた素戔嗚命(すさのおのみこと)を相殿神(あいどのしん。同じ殿内に複数の神さまが並列で祀られていること)としている。
「私どもは、天照大御神様、素戔嗚命様を“コンテンツの神様”として、言霊大神(ことだまのおおかみ)、正式名称を武蔵野坐令和言霊大神(むさしのにますうるわしきやまとのことだまのおおかみ)様とお呼びしております。KADOKAWAは文芸、芸術、学術のほか、アニメやコミック、ゲーム、映画と、ハイカルチャーからサブカルチャーまで、あらゆるコンテンツを生み出しております。それらすべての表現の中に顕れる言霊の御稜威(みいつ/神の威光)が、言霊大神です」