失われた人類遺産を復元! クローン文化財による世界文化の共有【東京藝術大学大学美術館「みろく展」開催記念特集④】

法隆寺金堂壁画

法隆寺のご本尊を安置する金堂の内部に描かれた壁画は、その圧倒的な芸術的価値により古くから劣化防止と保存の対策が行われてきた。しかし、1949年に法隆寺金堂は火災に見舞われ、壁画の中でも大きな面積を占める外陣壁画12面が焼損した。その後、1967年から法隆寺金堂壁画再現模写事業が開始され、東京藝術大学名誉教授であった安田靫彦、前田青邨が総監修を務め、東京藝術大学の教員や出身者が多く従事し、写真を印刷した特注の和紙に彩色する迅速な模写方法により、外陣壁画12面と内陣壁画20面の模写が完成し堂内に納められた。そして現在でも、法隆寺金堂内部には昭和の再現壁画が配されている。

その後、東京藝術大学では、伝統的な模写技術と審美眼をベースに写真印刷を組み合わせた昭和の再現模写を発展させ、焼損前に撮影されたガラス原板やコロタイプ印刷、鈴木空如らの模写、美術史資料をもとに、すべての壁画資料をデジタル化し画像を統合して図像を再現した。さらに現在では、焼損した時よりもさらに時代を遡り、伝統的な模写の技術を用いて色彩豊かな壁画の再現を進めている。

法隆寺金堂9号壁画《弥勒説法図》 想定復元 ©東京藝術大学COI拠点

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監修:全国寺社観光協会

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