日本彫刻の最高傑作のひとつといわれる、聖林寺 国宝 十一面観音。
760年代(天平=奈良時代)に東大寺の造仏所で造られたとされています。慶応4年(1868)に聖林寺に移され、昭和26年(1951)には日本最初の国宝のひとつに選ばれました。
均整のとれた仏身、豊満な顔立ち、量感のある上半身、優婉な纏衣の美しさ、微妙な変化をみせる指先。長い年月を経て多くのものを失ったとはいえ、その美しいお姿は今も、多くの人々を魅了しています。
しかし、昭和34年に建てられた観音堂は老朽化が進み、このままでは大きな自然災害が起きた際の対策は決して十分とはいえません。
昨今、大型の地震が日本列島を襲っていることからも不安は大きく、早急に免震・耐震性のある観音堂が望まれるため、観音堂の大規模な改修事業を計画しています。
観音堂の建設には総額1.5億円もの莫大な費用を要します。
観音様を愛する多くの方々に、是非ともこの一大プロジェクトに関わっていただきたく、お願いを申し上げる所存です。観音堂建立のためのご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
聖林寺
大和・桜井 聖林寺で御護りしている国宝十一面観音様は、大神神社(桜井市)の神宮寺、大御輪寺からお遷りになられました。時は幕末、日本が変革に向け動き出した慶応4年(1868年)の春のことです。観音様は760年代(天平時代)の造像で、現在は金箔の剝落もみられますが、非常に良い状態を保ち、多くの拝観者を魅了し、和辻哲郎の『古寺巡礼』をはじめ多くの著名人に愛されてまいりました。
観音様の居られる御堂は、昭和34年製の鉄筋コンクリート造りで今年で60年が経ちます。老朽化が進み南海トラフのような最大級の地震対策は十分にはとられておりません。未来永劫に観音さまをおまもりできるよう数年前から、鉄筋やコンクリートの強化、免震装置の設置を計画しておりました。改修事業には、1.5億円もの莫大な費用を要します。また改修工事の間は国立の博物館でお預かりいただくことになりますが、文化庁や国立博物館の依頼をうけ、東京オリンピックの際に特別展を行い、その間に大改修を行うという予定でありました。 しかしコロナ禍を受けてオリンピックが延期となり 改修事業の全てが延期となってしまいました。 新型コロナウイルス感染拡大対策の自粛期間から、改修事業の中断等やむを得ない事の連続で、焦燥の毎日でありましたが、この度クラウドファンディングという新しい形での勧進に挑む運びとなりました。
このプロジェクトでは、令和4年完成予定の御堂にご参加の方々のご芳名を納めさせていただきます。(一部のリターンを除く)また、外出も難しくお参りがしにくい状態でありますので、半蔵門ミュージアム 奈良国立博物館名誉館員の西山厚先生による、観音様がお遷りになった謂れをたどるオンラインツアーの視聴特典もございます。
1300年の月日を経ているとは思えない、繊細な木心乾漆の観音様は、いうまでもなく我々のご先祖さまが丁重に大切に遺された賜であります。この度は我々が次の世代に繋げるよう、皆様にはこのプロジェクトに参加頂きたく、臥してお願い申し上げます。安穏な日々が戻り観光を楽しめるようになったあかつきには、里の古刹にお出かけください。安泰の住を得た観音様が三輪の地 すなわち大御輪寺におられた頃に近い空間である改修後の観音堂で、拝まれていた時に近い空間にてお待ち申し上げております。