千本の足をもつ観音さま〈観音の里シリーズ第4弾〉東京長浜観音堂「木造千手千足観音立像(長浜市高月町西野 正妙寺)

東京長浜観音堂 第4期展示「千手千足観音立像」(長浜市高月町西野)湖東山 正妙寺蔵、文政8年(1825)制定『江州伊香33所』第11番札所[撮影:寺社Now]

▪東京で「観音の里」を体験!
 東京・日本橋にて「東京長浜観音堂」が期間限定で開設されている(2022年2月27日まで)。会期中に7万人のギャラリーを集めて話題となった、「びわ湖長浜KANNON HOUSE」(2016年3月〜2020年10月、東京・上野)の後継企画だ。
 〝湖北〟と呼ばれる滋賀県北東部に位置する長浜市は、平安時代から仏教文化が栄えた土地で、現在も100を超える観音像が地域に点在し、「観音の里」として知られている。室町時代以降の戦乱期には、戦禍から大切な観音像を守るために、地域の人たちが命がけで〝ホトケさま〟を田んぼに埋めて隠すなどして守り継いできた。
 そんな「観音の里」の観音像が、およそ2か月に1躯ずつ交代で、長浜市から東京の日本橋まではるばるとお出ましになっている。寺社Nowでは、観音像とその背景にある長浜の祈りの文化を、展示の入替に歩みを合わせてシリーズでお届けしている。
(協力:長浜市 市民協働部 歴史遺産課)

千本の足をもつ観音さま
木造千手千足観音立像(長浜市高月町西野 正妙寺)

文:佐々木悦也(高月観音の里歴史民俗資料館 学芸員)

正妙寺(しょうみょうじ)の千手千足観音像は、他に例のない「千本の足」を持つ観音像です。構造はヒノキ材による寄木造。玉眼(ぎょくがん)が嵌められ、三道彫出(さんどうちょうしゅつ)。像全体に漆箔(しっぱく)が施され、髪は青色、口は朱色、歯は白色に彩色が施されています。

上半身は裸形(らぎょう)で腰布を着し、両脚は膝頭を出して直立。忿怒相(ふんぬそう)で眉目(びもく)をいからせ、口を開き、額には縦に第三眼(だいさんがん)が刻まれています。

西野正妙寺蔵「千手千足観音立像」[撮影:寺社Now]

頭上は、天冠台上に10の小面が横に並び、中央には仏面が一段高く載っています。右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に戟(げき)を執り、両手首・足首には環釧(かんせん)を彫出。脇手は左右各17本ずつ伸び、いずれも掌を上に向け、脇足は左右各19本を扇状に半肉彫(はんにくぼり)で表わしています。

他に例を見ない像容ですが、仏像は必ず経典や儀軌(ぎき、編集部注:経典に説かれた規則のこと)によって造られることから、江戸期にこの地で独自に創作されたものではなく、かつてこの寺に千足観音が伝わり、戦火に遭って後に復興されたのではないかと考えています。

西野正妙寺蔵「千手千足観音立像」(後部)[撮影:寺社Now]

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