開かれた寺づくりで 信仰、観光、自然の未来をつくる vol.01


明治維新までは12 坊の末寺を有し嚴島神社の別当寺として祭祀を行っていた真言宗御室派・大本山大聖院(広島県・宮島)。『平清盛公生誕900 年前年祭』の会場になるなど宮島の地域振興に精力的に取り組んでおられます。大聖院の吉田正裕座主に、お寺が地域で果たす役割や少子高齢化が進む中での信仰の継承などについてお聞きしました。

イベントは皆様とご縁を結ぶ貴重な機会

吉田 正裕

編集部:2018(平成30)年に平清盛公生誕900年を迎えるにあたり、大聖院様は『平清盛公生誕900年前年祭』の会場となるとお聞きしました。その内容をお聞かせください。

吉田座主:大聖院では、先代の頃から「開かれたお寺づくり」に取り組んできました。広大な土地にさまざまな施設を持ち、裏には手つかずの自然が残る弥み せん 山という山
も抱えています。信仰・と健康・と観光・という「三こう」を大切に、お寺をより多くの方に使っていただけるようにオープンにしています。中心は信仰ですが、近年、宮島は観光客が増え、私も多少貢献ができるならばと宮島観光協会の副会長を務めさせていただいています。観光協会の活動の中で、来年の『平清盛公生誕900年』へ向け、今年は前年祭実行委員会を立ち上げました。大聖院では恒例行事の内容を膨らませて、修行体験や平家納経の内容を勉強する会、新たに奉納コンサートも実施しています。

編集部:前年祭に限らず、境内での縁日や修行体験など、年間を通してさまざまなイベントをしていらっしゃいます。これほどまでにお寺を開放されているのはなぜでしょうか。

吉田座主:毎月1日の「宮島ついたち市」は、雑貨・アート・手作り品・古本市です。出店者の方からの要望で、3月~ 12月初旬の毎週土~水曜にも「大聖院おかげさま市」も開催するようになりました。お寺に来られた方にも、出店される方にも喜んでいただいています。お寺に賑わいも生まれます。皆さんにとっていいことにつながっています。私が住職になった約20年前、人口が減り少子高齢化が進んでいく中で、宗教離れへの危機感を感じ始めていました。今、檀家寺であっても家の中で信仰の継承がうまくいっているとはいえません。ましてや大聖院のような信者寺は個々の信仰によるものですから、それを子や孫に継承していくことはとても難しいことです。
信仰はすぐには浸透しません。早いうちからお寺との接点を持っていただくために、子どもたちを対象にした体験道場「小坊主の会」や「宮島てらこや」などお寺を身近に感じていただく機会を設けました。境内には、子どもたちが喜ぶような丸くてかわいいお地蔵様があちこちにいます。
子どもたちが「お地蔵様にまた会いたい」とお寺に来て、その子どもたちが大人になって大聖院にお参りしたことを思い出し、戻ってきてくださったらうれしいですね。イベントは若い方にお寺とご縁を結んでいただく機会ととらえています。お寺づくりは一人ではできません。ここに勤めるものには、開かれたお寺を目指していることを常に話し、その上で何ができるかを一緒に考えています。

平清盛公生誕900 年

vol.02に続く

プロフィール
吉田 正裕(よしだ しょうゆう)
宮島弥山 大本山大聖院 座主
1960(昭和35)年9月15日生まれ。種智院大学仏教学部卒業、仁和密教学院卒業。1984(昭和59)年から大聖院勤務。1990(平成2)年から高野山真言宗真光院住職、1998(平成10)年から大聖院座主。真言宗御室派宗会議員議長、一般社団法人宮島観光協会副会長、宮島弥山を守る会会長、三十三観音ネットワーク会議世話人、広島刑務所教誨師ほか
http://www.galilei.ne.jp/daisyoin

2017-08-07 | Category スペシャル

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