【宿坊研究会レポート10】宿坊とビジネスの融合に必要な『黄金文脈』


私が講演で話すテーマの一つに、『黄金文脈』があります。これは私が考えた言葉で、「○ ○だから、××する」という言葉のつながりを表したものです。
具体的には寺社に古くからある信仰や伝承などを掘り起こし、それを現代ニーズとつなげる方法です。ストーリーほど複雑ではないけど、単語だけでは足りない。そこで「文脈」です。

例えば東京にある武蔵御嶽(むさしみたけ)神社は、狼が神様として祀られています。そこで犬同伴の参拝環境を整えたところ、大きな話題となりました。
ケーブルカーにはペットの乗車券が用意され、神社には犬の手水やお守り、愛犬のご祈祷所もあります。週末にはあちこちで犬を連れた参拝者を目にします。

s_宿坊研究会10-p左

もしも「愛犬と一緒に参拝できる」だけであれば、ペットブームに乗ったサービスと思われますが、「狼信仰の聖地だから」という文脈があれば、説得力が変わります。

また、静岡県にある禅の修行道場、可睡斎(かすいさい)は、目の前で居眠りした住職に徳川家康が「和尚、眠るべし」と声をかけたことからその名がつきました。こちらでは現在、坐禅と眠りに関する医学研究と協力し、宿坊では禅を用いた良質な眠りも提唱しています。

石川県羽咋(はくい)市の気多大社(けたたいしゃ)に ある古文書『古縁起』には、空を飛ぶ不思議な物体について書かれた記述があります。そこでUFOの街としてPRを開始し、地元青年団の活動から国際会議にまで結びつけました。

s_宿坊研究会10-p右

本物のロケットをNASAから購入した「コスモアイル羽咋」は人気を呼び、地域活性化の成功例として語られています。

 

黄金文脈を宿坊に活用

こうした『黄金文脈』は宿坊にも活用できます。
平安時代から続く歴史を活用し、宿坊を「お寺や神社の信仰を伝える場」とすることで、ビジネス目的だけではない寺社の宿として意味付けできます。
1000年以上も続く日本固有の文化だから、宿坊の火を途絶えさせてはならない。信仰の場として続いた歴史があるから、寺社を宿にする意義があります。
宿坊ファンドという新しい概念まで生まれてきた今、宿坊の中身を掘り下げる作業も今後さらに不可欠になっていきます。
 

DSC02323堀内 克彦プロフィール
宿坊研究会 代表
「人生を変える寺社巡り」がテーマの寺社旅研究家。各地で寺社活性化・地域活性化の講演を実施し、寺院コンサルタントとしても活動中。著書に『宿坊に泊まる』(小学館文庫)、『お寺に泊まろう』(ブックマン社)、『恋に効く! えんむすびお守りと名所』(山と溪谷社)など。

宿坊新規開設をご検討の寺社様・運営に関するお悩みを抱える宿坊様へ
開設までの企画立案、各種手続き、開設後の集客プロモーションまで全国寺社観光協会のコンサルタントがサポートします!まずはお気軽にお問い合わせください。

一般社団法人 全国寺社観光協会 本部事務局
TEL:06-6360-9838/FAX:06-6360-9848/e-mail:info@jisya-kk.jp

情報誌「寺社Now」vol.12 宿坊研究会レポート より

2017-01-13 | Category コラム

関連記事

Comment





Comment