世界遺産 高野山で『味吉兆』による「高野山尽くしの精進料理会」が開催されました。

大阪『味吉兆』と高野山『別格本山 清浄心院』がタッグを組み、高野山尽くしの精進料理を新たに開発しました。

清浄心院のプレスリリース

高野山 別格本山 清浄心院(本社:和歌山県伊都郡高野町、代表:池口恵観)は、2022年6月19日、20日、2022年ミシュランガイドで1つ星を獲得した大阪『味吉兆』とコラボレーションし、「高野山尽くしの精進料理会」を清浄心院客殿にて開催致しました。「高野山尽くしの精進料理会」では、『味吉兆』の中谷隆亮料理長が、高野山の伝統・こだわり抜いた高野山麓の新鮮野菜・厳選した仕入れ農家や加工業者と一体となって創り上げた精進料理を提供しました。
この料理会は、2022年11月13日にも秋の高野山食材を用いて開催されます。

高野山食材の探求
高野山の伝統を生かした、新しい精進料理。高野山麓の新鮮野菜にこだわり、仕入れの農家や加工業者も厳選。一流の料理人が生産者を一軒一軒訪問して食材を仕入れ、誰も食べたことのない精進料理をつくる。そんな思いのもと、このたび、大阪『味吉兆』と高野山『清浄心院』がタッグを組んだ新しい試みが高野山で始まりました。
令和4年5月23日と24日、今回の料理会に先駆け、高野山麓や高野山周辺の魅力ある食材や加工品を探すため、生産者への視察会が行われました。『味吉兆』からは中谷隆亮・主人をはじめ、スタッフたちが参加。清浄心院からは寺務長の松村篤史氏、清浄心院文化歴史研究所メンバーの馬場麻美氏などが参加。高野山麓の生産者・加工品業者を10カ所以上直接訪問し、つくり手の思いやこだわりを2日間かけてヒヤリングしました。

畑の中で実際に収穫したての野菜を頬張り、道なき山道を登り、野生と同化した果物や山菜の収穫現場に訪れました。金山寺味噌の加工所では伝統製法の現場を視察し、高野山上にある堀畑豆腐店では揚げたての薄揚げ、厚揚げを試食させていただくなど‥‥。食材探しの旅は終わりを知らず、夜まで続きました。食事をする方が幸せになれる、美味しい精進料理をつくるため、生産者と料理人の情熱が止まりません。

『味吉兆』中谷氏の思い
祖父が九度山のお寺の住職で、父もそこで生まれたこともあり、高野山には特別な思いがあります。ただ、祖父が若くして他界してしまったために父はお寺を継げず、料理人の道に入りました。ですので、今回のお話をいただいた時、とても深い縁を感じました。
今回、高野山麓の農家さんを巡り、たくさんの良い出会いに恵まれました。生産者さんと直接お話をするのは勉強になりますし、新鮮で美味しいお野菜は現場に探しに行かないとなかなか手に入りません。在来種の水茄子を生でいただいた時の感動、パプリカの厚皮が気にならないほどの柔らかさ、添加物を一切使わない金山寺味噌の作り方も感銘を受けました。
日本料理というのは素材の味を生かす料理です。高野山はお野菜も新鮮でおいしいですし、水もおいしい。私たち料理人はその優れた素材や水の力をお借りし、生産者さんの気持ちを料理にして、お客様に感動をお伝えすることが使命です。
今回は精進料理は華やかさや遊び心があり、皆さんに驚いていただけるような料理を心がけました。精進ですのでカツオだしを使わず、昆布をベースに、味に深みが足らなくならないようにキノコやお酒の力を借りました。お酒も入れすぎると苦味が出てくるので、アルコールをとばすなど工夫をしています。
「高野山ならでは食材を使って精進料理をつくる」。私たちも初めての挑戦でしたので、その課題にどのように応えられるのか? それはとても勉強になりましたし、何よりも楽しかったです。

「高野山尽くしの精進料理会」開催

そして、6月19日、20日の2日間、清浄心院 客殿にて料理会が始まりました。先付、小鉢、お椀、造り変り、焼物、焚合せ、鍋、ご飯、香の物、果物まで。この料理会のために、『味吉兆』の中谷隆亮・主人が高野山の文化や風土をイメージして考案した、特別な精進料理が順次運ばれてきます。

素麺のように千切りにした茄子のお椀や、金山寺味噌で味わうパプリカけんちん詰め、たっぷり柔らかいクレソンと車麩の食感が絶妙な高野クレソン鍋など。日本料理の伝統を守りつつ、精進料理とは思えない独創的なアイデア、あそび心にあふれた料理に驚かされます。さらに、高野山麓の情景が凝縮されたような滋味深い新鮮野菜や、高野山ならではの胡麻豆腐、高野豆腐も堪能。ポーションも大きめで大満足でした。

2日間で全4回の料理は大盛況。すべての回において中谷隆亮・主人による挨拶もあり、参加者たちは笑顔で帰路につきました。

ミシュランガイド一つ星 『味吉兆』の精進料理を味わう

先付 ~胡麻豆腐 山葵 割醤油~
胡麻豆腐はあえて、今朝練りたてのものをご用意いたしました。練りたての胡麻豆腐はコシも香りも違います。三角に小豆がのった京都の水無月菓子に見立てた水無月豆腐です。
小鉢 ~トマト蜜煮 ミント 山桃 造り変り 焼生麩 芥子醤油~
小鉢はトマトを蜜煮にし山桃も添え、冷やして提供します。造り変りは麩善の生麩を焼き、甘辛いタレでまとめました。
お椀 ~茄子素麺 東坡豆腐 柚子~
茄子は鮮度がいいので、生で食べていただきたいと、素麺のように千切りにして葛粉を打ち、サッとお湯にくぐらせてお吸いものにしました。高野山・堀畑豆腐の揚げ出し豆腐を使用しています。
焼物 ~パプリカけんちん 味噌ソース 実山椒~
新鮮なパプリカはあゆみ農園のものを使用。高野山・堀畑豆腐の木綿豆腐を絞り、けんちんを詰めて、金山寺味噌をソースがわりにし、西 仁さんの実山椒を添えました。
焚合せ ~キャベツ 一寸豆 高野豆腐 法蓮草 針生姜~
キャベツ、法蓮草は雑事のぼりの新鮮野菜を使用。高野山らしく高野豆腐もいただける焚合せです。
鍋 ~高野クレソン 生湯葉 椎茸 車麩~
山菜鍋からヒントを得た高野クレソン鍋。通常ならクレソンにはお肉をつけますが、精進なので植物性たんぱくの湯葉や利休麩(大徳寺麩)、くるま麩を合わせています。
ご飯 ~夏野菜ご飯~
夏野菜ご飯。トウモロコシや枝豆、ズッキーニも入れてピラフのように。トウモロコシは一緒に炊いて甘みをご飯に移し、ズッキーニはサッと炒めて炊き上がりに混ぜました。
香の物 ~水茄子 胡瓜 金山寺味噌~
香の物は水茄子はじっくり漬け込まないといけないため、3日前にお店にて仕込みました。金山寺味噌を添えて。
果物 ~桃~
料理会の時に旬を迎える、あら川の朝採れ桃を用意していただきました。

『味吉兆』中谷隆亮氏について

『味吉兆』代表取締役。高級料亭『吉兆』の創業者・湯木貞一氏から暖簾分けを許可された『味吉兆』初代・中谷文雄が実父。大学卒業後は『東京吉兆』で3年間修業した後、先代の元で研鑽を積みながら二代目に就任。先代が『吉兆』から受け継いだ“世界へ誇る日本の食文化”を守り、国内外へ普及させていくため尽力している。現在、大阪市内にて『味吉兆 ぶんぶ庵』『味吉兆 堀江店』を経営。二店舗とも長年ミシュランガイドで星を獲得し続けている。

清浄心院について
高野山真言宗別格本山。住職池口恵観。
当天長年間(八二四〜三四)に高祖弘法大師により草創される。
徳川時代には院領高三五石、上杉謙信、佐竹義宣などの諸大名が檀家となりました。その縁は深く、上杉謙信の祈願所、佐竹家の菩提所としての 役割を果たしており、奥之院にある上杉謙信霊屋一棟(国指定重要文化財)は当院の管理によるもの。御本尊廿日大師像は、承和二年(八三五)三月二十日、入定を明日に控えた高祖弘法大師により彫刻され、 像の背後に「微雲管」の三字が書かれていると伝わっています。境内には、運慶作の阿弥陀如来立像、中将姫筆の九品曼荼羅、当麻建立之図(以上、重要文化財)などがあり、門内の名木傘桜も見所のひとつです。 この傘桜には、太閤豊臣秀吉が花見を催したという逸話も残されています。
当院は、その名の如く清浄を極め、簡素にして優雅、高野山の伝統的な大釜のある台所など、 総本山金剛峰寺の参考となったと言われる建築様式を今に残しています。

寺院名:高野山別格本山 清浄心院
所在地:和歌山県伊都郡高野町高野山566番地
代表者:池口恵観
設立 :当天長年間(824~834年)
URL :https://shojoshinin.jp

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監修:全国寺社観光協会

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