【東京都足立区】9月23日(金祝)、安養院にて、「キングオブ銭湯」と親しまれた大黒湯の唐破風移築「完成披露の日」が開催されます。

惜しまれながら昨年閉店した「キングオブ銭湯」と呼ばれた大黒湯。唐破風屋根が安養院(足立区千住五丁目)に移築保存され、完成披露の日を迎えます。

足立区のプレスリリース

令和3年6月30日、「キングオブ銭湯」と呼ばれ全国的にも有名だった大黒湯(足立区千住寿町)が閉店しました。千住の古刹「安養院」の住職の英断と交渉により、大黒湯の顔であった唐破風屋根が安養院に移築保存されました。9月23日(金祝)の「完成披露の日」には、唐破風屋根をくぐって中に入っていただけます。当日は移築の経緯をおさめた写真スライド上映もあります。

▪大黒湯唐破風移築「完成披露の日」

日時:9月23日(金祝)10時~15時
場所:安養院(足立区千住5-17-9)
10:00~完成供養・読経
10:30~木遣り(鳶職)江戸消防記念会十一区
11:00~建物の中に入れます。都合の良い時間にご覧ください(移築の経緯をおさめた写真スライド上映あり)

唐破風屋根が移築保存された安養院の正面玄関。唐破風には新しい格天井が造られ、地元イラストレーターらによる絵が奉納されている

安養院のもとの正面玄関

ありし日の大黒湯の正面。唐破風の下の鳳凰や大黒天の彫刻もそのまま移築保存された

大黒湯の「キングオブ銭湯」の愛称は、銭湯業界の第一人者であり、庶民文化研究家の町田忍氏が約30年前に名づけたもの。昭和4年に建てられた宮づくり銭湯で、唐破風の上に2重の千鳥破風があるなどほかに類を見ない荘厳な建築であったことから名づけたそうです。町田氏によると、大黒湯閉店により「キングオブ銭湯」は永久欠番とのこと。

営業中の大黒湯

唐破風下の鳳凰と大黒天

脱衣場の格天井。104枚の花鳥風月の絵が描かれていた

煙突

浴室の富士山の絵

閉店時の店内の貼り紙

閉店に際してはSNS上などで多くの惜しむ声が寄せられましたが、解体がはじまろうとしたタイミングで、地元安養院住職の交渉により、移築保存のプロジェクトがスタートしました。
安養院への寄付、クラウドファンディングによる資金集めを経て、完成披露の日を迎えます。

▪安養院住職の思い(クラウドファンディングサイトより)

見るたびに「すごい建物だな~!」と思っていました。お寺よりも立派だよね~と。「キングオブ銭湯」とネーミングされていると聞いて、なるほど全国的にも名が知れているのだと納得したものです。保存運動があるのかと思っていましたが、間もなく解体されると聞き、いろいろ考えました。どこかに保存できないものかと。
ある日、朝の読経中に、ふと思ったのです。
「安養院ではどうか?」
建物解体寸前に、やっと大黒湯さんとお会いできて、翌日に承諾をいただきました。奇跡的な展開でした!ご縁があったのかなと思います。

千住の財産!それは間違いないですが、それ以上に、ある時代、ある地域にしか建てられなかった貴重な日本の文化財です。失くなってしまったら、二度と造れない建物だと思うと、悔いが残ります。正面の唐破風屋根部分だけですが、移築保存できて、多くの皆さんにも喜んでもらえたら。それが一番うれしいことです。そしてこのことが、銭湯や地域の振興と発展に役立つといいなと思います。銭湯ファン、そしてさらに広く、人の輪が広がることが楽しみです!

▪銭湯ファン、地元ファンの寄付について

移築保存にあたり、以下の寄付が募られ、多くの人が協力しました。

(1)クラウドファンディング:
期間:4月30日~6月30日
目標:300万/最終3,031,010円(支援者:391人)で達成
主催:あだち銭湯文化普及会

(参考)
クラウドファンディングサイト「日本の銭湯文化を遺したい!唐破風屋根保存プロジェクト!」
https://camp-fire.jp/projects/view/565406

(2)屋根銅板の現地奉納(1枚5000円)
奉納者数:220余名

移築途中の大黒天の彫刻

(写真4枚)安養院への移築工事中の様子

▪安養院について

鎌倉時代の建長年間(1249-56)に北条時頼により創建された「長福寺」にはじまる。もと「長福寺」があった場所には、昭和から平成の時代「佐原浴泉」という銭湯があった。

▪宮づくり銭湯について

宮造り銭湯の始まりは、大正12年に起きた関東大震災。震災でほとんどの銭湯が倒壊した中で、復興の願いを込めて豪華な建物を宮大工が作り、人々を勇気付けたとされる(今年は関東大震災から100回忌の年)。

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監修:全国寺社観光協会

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