12月10日より、奈良国立博物館の特別展「春日大社 若宮国宝展―祈りの王朝文化―」が開催される。
これは、世界遺産・春日大社の摂社、若宮神社の社殿を造り替える「式年造替(ぞうたい)」完了を記念する催事で、国宝「若宮御料古神宝類(わかみやごりょう・こしんぽうるい)」がすべて公開されるほか、若宮神社の一部が描かれた鎌倉時代の国宝絵巻「春日権現験記絵」など国宝24件、重要文化財10件を含む約90件が出展される。平安時代の〝王朝の美と輝き〟を目の当たりにすることができる絶好の機会となる。
【会期:2022年12月10日-2023年1月22日、会期中入れ替えあり】
報道発表資料より
令和4年(2022)10月、春日大社の摂社、若宮神社の本殿(重要文化財)の御造替が完了いたします。御造替とは、社殿を造り替え、神宝や調度品などを新調する事業で、古来、20年に一度を式年として行われてきました。本展覧会はこの大事業の完成を記念して開催する特別展です。
春日若宮神は、春日大社本社本殿に祀られる四神の御子神として、長保5年(1003)3月3日巳刻に誕生したと伝えられています。御名を天押雲根命、あるいは五所王子(五番目の神の意)といい、水徳の神、五穀豊穣の神、さらには学問の神として広く信仰されてきました。毎年12月に行われる「春日若宮おん祭」は、大和一国を挙げた盛大な祭礼として全国にも知られ、保延2年(1136)の開始以来、およそ900年近い伝統を誇るものです。
本展では、藤原摂関家をはじめ平安貴族が若宮神に奉納した太刀や弓、飾り物など、当時最高峰の技術を集めた工芸品から、壮麗な王朝文化の世界を感じていただき、また古来の祭礼や神事芸能の数々をご紹介いたします。さらに、過去、現在の御造替にかかわる器物や歴史資料を通して、これを支えた人々の熱意と努力の軌跡をふり返ります。本展が、日本文化の奥深さと素晴らしさを再確認していただく機会になればと願っております。