宗教画家・杉本哲郎の代表作、大阪本願寺津村別院壁画《無明と寂光》と哲郎の画業に迫る講演会の開催

長浜市長浜城歴史博物館 企画展「西田天香と杉本哲郎ー長浜ゆかりの偉大な思想家と芸術家-」関連講座

「西田天香・杉本哲郎顕彰事業」実行委員会のプレスリリース

国内外に活躍した知られざる日本画家・杉本哲郎、代表作の一つ大阪本願寺津村別院壁画《無明と寂光》と哲郎の画業に関する展覧会を開催。

タイトル:「北御堂壁画《無明と寂光》と杉本哲郎の画業」
講師:杉本太郎(杉本哲郎顕彰会代表)、坂口泰章(長浜城歴史博物館学芸員)
日時:令和4年10月22日(土)13:30~15:00
会場:本願寺津村別院(北御堂、大阪市中央区本町4丁目1-3)
聴講料無料
※要事前申し込み 申込先 長浜城歴史博物館 電話0749-63-4611

《無明と寂光》は、大阪、本願寺津村別院(北御堂)のホールを飾る大壁画です。
釈迦の生涯と200人にもわたる、ほぼ等身代の人物が描かれた壮大なスケールの作品です。

《無明と寂光》 昭和44年(1969)

この作品を描いたのが、大正から昭和時代にかけ活躍した日本画家・杉本哲郎です。

滋賀県大津市にて生まれた哲郎は、長浜生まれの父・善郎の仕事に伴い、幼少期を京都で過ごします。大正2年(1913)15歳の時に、京都市立美術工芸学校に転学し、翌年には、日本画家・川村曼舟(1880―1942)の紹介で、京都画壇の重鎮である山元春挙(1872―1933)に師事し、春挙の画塾である早苗会会員となり、「春江」という雅号を受けました。

しかし、のちに哲郎が志向した自由主義的な芸術に対する考え方が、早苗会の方針と異なったことから、哲郎は早苗会から破門・除名を言い渡されます。春挙のもとを離れた哲郎は、改めて日本美術の原点としての仏教美術の研究を始め、昭和12~13年(1837~38)にインドのアジャンター石窟寺院およびスリランカのシーギリヤ壁画模写事業のため、渡航します。アジャンター石窟寺院では、日本最古の本格的な仏画として名高い法隆寺金堂壁画にも大きな影響を与えた《パドマパニー(伝蓮華手菩薩)》をはじめ貴重な作品を模写し、日本へ持ち帰りました。

この模写事業は、哲郎の画業にとって大きな転換点となりました。その後も、インドから日本に至るアジア各地の美術を研究した哲郎は、仏画をはじめ宗教を題材にした作品を制作し、その作品は国内外で高く評価されました。

代表作に、「万教は同根、真理は共通して真・善・美も一つに帰納する」という信条に基づき、仏教やキリスト教、イスラム教をはじめ世界十大宗教を題材にした《世界十大宗教壁画》(新健康協会蔵)、漆喰の上に着色した本格的な壁画作品である《舎利供養》(琵琶湖文化館蔵)、や《無明と寂光》(本願寺津村別院蔵)等の作品が挙げられます。

中国・朝鮮を経て花開いた日本仏教美術とその原点であるインド美術を研究し、近代における新たな仏像を創り出した哲郎の作品は、当時の日本美術界おいて革新的であり、哲郎作品の魅力となっています。

本講座では、哲郎の顕彰を目的に、哲郎の代表作《無明と寂光》を実際に鑑賞しながら、哲郎の生涯と画業を紹介します。

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監修:全国寺社観光協会

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