大絵馬が、羽田空港第3ターミナル5階のお祭り広場に設置されたのは、令和2(2020)年12月25日のこと。東京五輪・パラリンピックの開幕を半年後に控え、日本中が、そして世界中がCOVID-19に翻弄されていた時期です。
本来なら国際線のフライトが飛び交い、海外からのインバウンドの観光客でごったがえしている、まさに日本の〝空の玄関口〟であるはずの羽田空港ですら人影はまばら。でも、だからこそ、そんな時期だから、〝絵馬〟の本来の姿、あるべき姿や心を伝えられるのでは……。
テーマを選ぶ際に、飛行機のイメージにマッチする〝鳥〟を描いてみたいと思いました。最終的に選んだ画題は、「鳳凰と富士山」です。鳳凰は〝復活〟を意味し、空高く飛行機から眺める富士山は、もちろん日本のシンボルです。
実は私自身、鳳凰の存在に励まされ、救われたたことがあります。そんな経験もあったため、日本も、そして世界もまた、「鳳凰のように再生してほしい」という願いを絵馬に託しました。
世界の人たちに、現実を悲観ばかりせずに生きる喜びを感じてほしい。いずれの日にか再び、たくさんの人が日本にきてそして母国に帰っていく時に、大絵馬をバックに笑顔で写真を撮って、楽しい記憶を持って帰ってほしい。一筆一筆に、そんな願いを込めました。
そしてついに、その願いが叶う日がきました。東京五輪・パラリンピックの期間中、大絵馬は同じ第3ターミナルの出国エリア内に一時移動して展示され、世界各国の選手たちが記念撮影できるようになったのです。
今回の大会で選手は、せっかくはるばる日本にまでやってきたのに、選手村と競技会場の往復しか許されませんでした。そこで、少しでも日本の文化に触れてもらおうと、私の大絵馬に白羽の矢が立ったんだそうです。帰国の途につく皆さんが、こぞって笑顔で写真を撮っていったと後で伺いました。お役に立てて本当に光栄で、嬉しく思います。絵馬師冥利に尽きるとはこのことです。
大絵馬が、今そこにある意味とは。神社仏閣に限らず、それが求められる〝時と場所〟を改めて問い直して、さりげない癒しや、慈しみやいたわり、よろこびの象徴になってほしいと、絵馬師として心の底から願っています。
★羽田空港第3ターミナル5階お祭り広場
【住所】東京都大田区羽田空港2-6-5
お祭り広場HP:https://www.tiat.co.jp/terminal/skyroad.html
羽田空港HP:https://tokyo-haneda.com/index.html
あわせてぜひお参りを!
★羽田航空神社
▪御神徳:航空安全災難除け、旅行安全、交通安全
▪住所:東京都大田区羽田空港3-3-2 第1ターミナル1F
▪HP:https://tokyo-haneda.com/enjoy/recommended_place/index.html
空港内にある航空功労者を合祀、航空業界の躍進と航空安全輸送を祈念するための神社
一般財団法人日本航空協会の航空会館屋上にある航空神社の分霊
★羽田神社(羽田空港の総鎮守)
▪御祭神:須佐之男命(スサノオノミコト)、稲田姫命(イナダヒメノミコト)
▪御神徳:運航安全、航空安全、病気平癒、縁結び、勝負事
▪住所:東京都大田区本羽田3-9-12
▪HP:https://www.hanedajinja.com
羽田空港のある羽田の土地を守る氏神様
航空会社各社の崇敬の念が厚く、地元の方にも愛されている
永崎ひまる(絵馬師・和風画家・デザイナー)
神道文化会 平成27(2015)年度「神道文化賞」受賞(絵馬師初)。また日本文化「和紙」の普及にも尽力する一方で、グラフィックデザイナーとしてのキャリアも活かして、陶器や雑貨などの商品デザインや、日本酒やワインのラベルデザインなど、絵馬だけでなく多岐ジャンルでも活躍中。
※神道文化賞:神道文化の普及に貢献している功労者に贈られる伝統ある賞
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