奈良国立博物館にて、浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念特別展「聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-」が開催の運びとなった(期間:7月8日〜9月3日)。
「南山城」と書いて「みなみ やましろ」と読む。「なんざんじょう」ではない。
京都府の最南部、奈良市に隣接する地域が、かつて山城国(やましろのくに)と呼ばれたことを知る者は、南山城という文字を見てまさか城郭を思い浮かべることはあるまい。
この地は、聖武天皇が740年から4年間、恭仁京(くにきょう)として都を置いた由緒ある処であり、仏教伝来以降、寺院の建立が相次ぎ、のちに山岳修験や浄土信仰も盛んとなった。南山城は、奈良と京都という新旧の都を結ぶ回廊的な要衝と位置づけられ、それゆえに都と同規模、同水準の像が安置された。
そしてここがポイントなのだが、木津川流域の俗世を離れた緑深い山間部にあることが幸いして、災禍に見舞われることが比較的に少なく、奈良や京都に比べても遜色のない、わが国屈指の名品名宝が今に伝わっている。本展の副題「奈良と京都を結ぶ祈りの至宝」とは、このことを示している。
至宝の代表格が、チラシやポスターのキービジュアルに採用されている、真言律宗浄瑠璃寺(じょうるりじ)の本尊、国宝阿弥陀如来坐像(九体阿弥陀)であり、また南山城周辺寺社から出陳される仏像や神像、絵画や古文書など国宝・重要文化財を含む約140件である。浄瑠璃寺の九体阿弥陀は、2018年から実に5年の歳月をかけて修理され、本展が修理後初公開となる。
奈良博で至宝の数々と出会ってから、その足で実際に現地の古刹を訪ね、今なお受け継がれている「聖地 南山城」の息づかいを感じてほしい。
※出品作品一覧
https://yamashiro-nara.exhn.jp/highlight/list.pdf
※関連企画として、9月16日から11月12日まで、東京国立博物館で特別展「京都・南山城の仏像」が開催される。
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2601
◆「本展の見どころについて」(担当 山口隆介主任研究員による解説)
◆「本展の展覧会構成について」(担当 山口隆介主任研究員による解説)
展示構成
第1章:恭仁京(くにきょう)の造営と古代寺院
第2章:密教の広がりと山岳
第3章:阿弥陀仏の浄土
第4章:解脱上人貞慶(げだつしょうにん・じょうけい)と弥勒・観音信仰
第5章:行基と戒律復興
第6章:禅の教えと一休禅師
第7章:近世の南山城と奈良
◆「聖地 南山城を代表する寺院紹介」(京都南山城古寺の会)
聖地 南山城(みなみやましろ)の古刹
▪蟹満寺(かにまんじ):謎多き丈六仏
▪大御堂観音寺(おおみどうかんのんじ):要衝に伝わる十一面観音像
▪禅定寺(ぜんじょうじ):東大寺僧の修行の地
▪神童寺(じんどうじ):山岳修験の聖地
▪浄瑠璃寺(じょうるりじ)と岩船寺(がんせんじ):阿弥陀仏の浄土
▪笠置寺(かさぎでら):弥勒信仰の聖地
▪海住山寺(かいじゅうせんじ):観音信仰の聖地
▪泉橋寺(せんきょうじ)と大智寺(だいちじ):泉大橋をめぐる信仰
▪酬恩庵(しゅうおんあん):禅の聖地
▪現光寺(げんこうじ):近世戒律復興の拠点
なお期間中、お茶の京都DMO(正式名称:一般社団法人京都山城地域振興社)の主催で、奈良博から出発して風光明媚な南山城の古刹をめぐるバスツアーが随時催行される。
※ツアー情報はコチラから(詳細は7月中旬に発表&参加者募集開始)
◆「仏像大使(みうらじゅん・いとうせいこう)によるグッズ開発会議」
▪開催概要
浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念
「聖地 南山城—奈良と京都を結ぶ祈りの至宝—」
会期 | 2023年7月8日(土)~9月3日(日) 前期展示:7月8日(土)~8月6日(日) 後期展示:8月8日(火)~9月3日(日) |
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会場 | 奈良国立博物館 |
開館時間 | 9:30~18:00(入館は閉館の30分前まで) |
休館日 | 月曜日(7/17は開館)、7/18(火) |
公式サイト | https://yamashiro-nara.exhn.jp/ |
主催 | 奈良国立博物館、日本経済新聞社、テレビ大阪 |
後援 | 京都府、京都府教育委員会、木津川市、京田辺市、城陽市、井手町、宇治田原町、笠置町、精華町、南山城村、和束町 |
協賛 | JR東海、竹中工務店、NISSHA、福寿園 |
特別協力 | 京都南山城古寺の会 |
協力 | 京都山城地域振興社、日本香堂、仏教美術協会 |