平城京遷都を主導した藤原不比等が創建した興福寺。 中世には、大和一国を治めるほどの権力を誇っていた。そんな興福寺に千年以上伝わる僧侶の口述試験「竪義(りゅうぎ)」。法相宗の僧が一生に一度だけ受験を許され、失敗すれば寺を去る覚悟で挑む。そんな難関を乗り越えた辻明俊の話は、軽やかで楽しい。
日々の修行、門前町とのお付き合い、僧侶になったわけ、お寺で起こる不思議な現象、自慢のかす汁の話、お寺の長い歴史の話、そして奈良のこと……。
興福寺の日常を、若き僧侶・辻明俊が写真とともに縦横無尽に紡いでいく。
付属のDVDは、「情熱大陸」や「世界遺産」のカメラマンとして知られ、興福寺を日々撮り続ける映像作家・保山耕一が、「御仏・祈り・四季を綾なす映像66分」として作成。辻明俊の新型コロナウイルス早期収束御祈祷映像も収録。
《出版社担当者より/「寺社Nowオンライン」読者の皆さんへメッセージ》
奈良・興福寺は、平城京遷都の立役者である藤原不比等ゆかりの寺院。1300年の歴史や寺宝、またお寺で起こる怪異?な話、そして奈良や鹿のこと……。
若き僧侶・辻明俊が重ねた時の記憶をもとに、多数のカラー写真とともに縦横無尽に紡いでいきます。本書には、もう一つ大きな魅力があります。それは、巻末に付いているDVD。映像作家保山耕一が撮る、興福寺の御仏・祈り・四季を綾なす66分の映像をご覧いただけます。
<目次>
・はじめに
・興福寺のこと
・興福寺境内図
・興福寺周辺図
・興福寺と私と修行
興福寺との出会い/仏縁が導く未来/行と胃の叫び/老僧のことば
・何でもない日常
昭和のカレー/祈りの灯り/お盆と西瓜/仏の庭/宿直の夜長/鹿のお土産
・ちょっと不思議な話
えにしの糸/幽明の境/黒い電話/仏のまなざし/猿沢池 龍の池
・日々の歩みから思うこと
信仰の中心/深知今日事(ふかくこんにちのことをしる)/神技の集積/
恩恵の代償/古参の流儀/古都の相貌/不都合と好都合/明日の光明/一瞬を想う
・至宝を受け継ぎ、次世代へ
憂い顔の阿修羅像/「国宝 阿修羅展」の成功と反省/現状維持への警鐘/わたしは迦楼羅派/
南円堂の仏さん/数奇な仏頭/興福寺と大仏師運慶
・興福寺の今と昔そしてこれから
神かまうな、仏ほっとけ/明治の荒廃と復興/未来につながる技と知恵/竃さん/
生と死のあり方/離れてつながる/写真で巡る興福寺/興福寺略年表
『興福寺の365日』
出版社:西日本出版
著者:辻 明俊
発売日:2020年10月19日
定価:1,870円