みやびに開幕! 金閣・銀閣の相国寺承天閣美術館「王朝文化への憧れ―雅の系譜」(3/20-7/18)

相国寺承天閣美術館(京都市上京区)企画展「王朝文化への憧れ―雅の系譜」会場風景。同館は、本山相国寺・鹿苑寺(金閣寺)・慈照寺(銀閣寺)・その他塔頭寺院に伝わる美術品を受託し、保存及び展示公開、修理、研究調査、禅文化の普及を目的として建設された。国宝5点、重要文化財145点を含む多くの優れた文化財が収蔵されている。館内には鹿苑寺(金閣寺)境内に建つ「夕佳亭(せっかてい)」を復元(写真下)。また近世京都画壇の奇才、伊藤若冲による水墨画の傑作、重要文化財「鹿苑寺大書院障壁画」の一部が移設されているなど、古刹境内の静謐な空間の中で美と歴史に向き合うことができるユニークなミュージアムとなっている

相国寺承天閣美術館(Shokoku-ji Jotenkaku Museum)の企画展「王朝文化への憧れ―雅の系譜」が開幕した。

▪Ⅰ期:3月20日(日)~5月15日(日)
▪Ⅱ期:5月22日(日)~7月18日(月・祝)

中世の動乱を経て辿りついた江戸時代、人々は、貴族文化が栄えた平安時代の〝雅(みやび)〟な王朝文化への憧れを募らせた。

乱世ですっかり荒れ果てていた京都は、天皇の住まいである京都御所を中心に、周辺に公家町が次第に整えられ、〝王朝文化復興(ルネサンス)〟の機運も高まっていく。御所の北方に位置する相国寺は、京都におけるそうした文化的ルネサンスの重要な位置にあった。ルネサンスの中心的存在であった御水尾院(後水尾天皇、1596-1680)ともゆかりが深い。

その相国寺の寺宝を中心に、江戸時代に京都で復興した王朝文化の世界が展開される。

相国寺承天閣美術館へは、かつての相国寺の寺域に建つ同志社大学今出川キャンパスを抜けた北側にある「総門」からまっすぐ北上し、日本に現存する最古かつ最大級の法堂を左手に見ながら境内の奥まで進む。境内は広いので、ほかのアプローチがいくつもあるが、静謐な空間へと移りゆくプロセスをゆったりと楽しめる「総門ルート」をお薦めしたい

臨済宗相国寺派(管長:有馬頼底師)大本山相国寺しょうこくじ、正式名称:萬年山相國承天禅寺)。

現在の寺域は、およそ4万坪。往時には144万坪の規模を誇り、塔頭寺院も50を数えたという。現在は境内に13の塔頭寺院があるほか、鹿苑寺(金閣)慈照寺(銀閣)真如寺といった山外塔頭を持つ。

もともと室町幕府3代将軍足利義満により創建されたこの寺は、京都五山の第二位に列せられる名刹だ。五山文学を代表する禅僧や、日本の水墨画の基礎を築いた画僧を数多く輩出し、地理的にも、文化的にも京都の中心にあり続けてきた。公家の師弟も多く入寺し、宮家との距離も近く、公家文化の一端を担ってきた

新古今和歌集」や「小倉百人一首」で知られ、和歌の神様とも言える歌人・藤原定家の墓所があり、定家ゆかりの数々の寺宝が伝わる。また、今回の企画展で重要な役割を果たしている塔頭の慈照院が、桂離宮古今伝授で知られる八条宮智仁親王の菩提寺でもあることから、宮家ゆかりの寺宝も数多く伝来している。

本展「王朝文化への憧れ―雅の系譜」は、京都の中心的な禅宗寺院と雅な世界との関わりや交わり、さらには中世から近世へと継承・発展した王朝文化の系譜を、まさにその歴史の現場でもある空間に身を置いて、静かに向き合うことができる貴重な機会となる。

展示構成
第1章 伊勢物語の面影
第2章 源氏物語への憧れ
第3章 和歌の伝統
第4章 相国寺と禁裏

相国寺承天閣美術館は、国宝5点、重要文化財145点のほか、中近世の墨蹟や絵画、茶道具などを中心に数多くの優れた文化財を収蔵している。長谷川等伯、円山応挙、狩野探幽などなど、ゆかりの作品が眩しい。写真は、展示ルームに常設展示されている、金閣寺大書院の襖絵であった伊藤若冲「葡萄小禽図」(左)と「月夜芭蕉図」(右)(いずれも重要文化財)

《源氏物語図屏風》狩野常信筆(左隻)(右隻) 六曲一双 紙本金地著色 江戸時代 17世紀 相国寺蔵/シルエットは、学芸員の本多潤子さん。大学と大学院時代に五山文学を専門とする研究者のもとで学び、そうした知見と研究の積み重ねが当美術館の企画に生かされている

《色紙短冊貼交屏風》 六曲一双 紙本墨書 江戸時代 17世紀 相国寺蔵/さまざまな仏教経典をもとに中世までに詠まれた古歌(=釈教歌)を、江戸時代に色紙や短冊に染筆して屏風に仕立てている。色紙や短冊の裏面に染筆者の名前が墨書されていて、後水尾院周辺の皇族や公家の名が連なっており、若くして亡くなった第十一皇子・八条宮穏仁親王の追善供養のために父・後水尾院が奉納したと考えられる

重要文化財《蔦の細道図屏風》俵屋宗達筆(左隻)(右隻) 烏丸光広賛 六曲一双 紙本金地著色 江戸時代 17世紀 相国寺蔵【Ⅱ期展示】

重要文化財《蔦の細道図屏風》俵屋宗達筆(右隻)(左隻) 烏丸光広賛 六曲一双 紙本金地著色 江戸時代 17世紀 相国寺蔵【Ⅱ期展示】 屏風の左右を入れ替えても絵柄がつながって見えるデザイン上の演出がされている。王朝文化の復興(ルネサンス)は、単なる模倣ではなく創造的なイノベーションだった

本展の図録がおもしろい。そでを開くと、俵屋宗達筆《蔦の細道図屏風》の左隻と右隻がつながって1枚の絵となって現れる(写真左上)。さらに、元のデザインの仕掛けを生かして立体的につなげることもでき、無限につづく循環がそこに立ち現れる(写真右)。この無限ループを表現した実用的なマスキングテープも商品化して館内のミュージアムショップで販売している(写真左下)。いずれも学芸員の本多潤子さん考案

開催日2022年03月20日~2022年07月18日
▪Ⅰ期:3月20日(日)~5月15日(日)
▪Ⅱ期:5月22日(日)~7月18日(月・祝)
会場相国寺承天閣美術館
会場住所京都市上京区今出川通烏丸東入 相国寺内 地図
入場料一般:800円
65歳以上・大学生:600円
中高生:300円
小学生:200円
※一般の方に限り、20名様以上は団体割引で各700円
営業時間10:00~17:00 (入館は16:30まで)
※5月16日~5月21日まで展示替のため休館。
公式サイトURLhttps://www.shokoku-ji.jp/museum/

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監修:全国寺社観光協会

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