春日大社の刀剣を抜きにして、日本刀は語れない
凍てついた冬の春日山に、神々の名刀がキラリと光る。
刀剣ファンならずとも注目の特別展「春日大社国宝殿〈冬季特別展〉秘められた大和の名刀—今明かされる大和の珠玉の名刀 春日の神々への至宝刀——」が開幕した。
春日大社(奈良県奈良市春日野町)は〝平安の正倉院〟と呼ばれ、国宝殿(Kasugataisha Museum)には平安王朝の美術工芸、日本を代表する刀剣や甲冑など国宝354点、重要文化財1482点を始めとする貴重な文化財が所蔵されている。文字通り神社界最大の宝庫である。
そもそも大和(やまと/現在の奈良県)は、国のはじまりの地であり、古代より連綿と刀剣の制作地として名を馳せている。この地にあって〝都の守り神〟として創建された春日大社には、朝廷や貴族はもとより、歴代の武家政権からも数々の名刀が奉納されてきた。春日大社の刀剣を抜きにして日本刀は語れない。
本展では、そんな眩いばかりの〝刀剣の宝庫〟である春日大社秘蔵の名刀(国宝・重要文化財・重要美術品17点)が公開されるほか、あわせて法隆寺や金剛山葛木神社、東吉野八幡神社、個人蔵など、刀剣のふるさと奈良に秘蔵された奈良県指定文化財の名刀、さらに奈良興福寺・宝蔵院流鎗術保存会に伝わる秘蔵の名鎗も大集結。日本が世界に誇る刀剣文化を心ゆくまで堪能することができる[会期(前期)令和3年12月24日〜令和4年2月13日、(後期)2月15日〜4月3日、展示品の入替あり]。
寺社Nowでは今回、展示会場でひときわ輝いていた、別名「黄金の太刀」と呼ばれる中世最高の工芸品と名高い国宝「金地螺鈿毛抜形太刀(きんじ らでん けぬきがた たち)」にフォーカスしてご紹介したい。