ゆるふわで自由自在!ZenZen禅画リターンズ【永青文庫】「仙厓ワールド−また来て笑って!仙厓さんのZenZen禅画−」展開幕(5/21土-7/18月・祝)

永青文庫(えいせい・ぶんこ、東京都文京区目白台)「仙厓ワールド−また来て笑って!仙厓さんのZen Zen 禅画−」(会期:2022年5月21日〜7月18日)・・・永青文庫は、目白台に屋敷を構えていた旧熊本藩主・細川家伝来の、およそ6,000点にもおよぶ美術工芸品をはじめとする古文書や古典籍などの史料あわせて約9万点(国宝8件、重要文化財34件)を、管理・保存・研究・公開している。[画像上]仙厓義梵(せんがい・ぎぼん) 「龍虎図」 江戸時代後期(19世紀)をデザインした本展チラシ。[中段左]昭和の中ごろ、永青文庫2階ソファにて16代当主・細川護立(もりたつ=18代細川護熙元首相の祖父) 。[中段右]永青文庫は、昭和25年(1950)、禅画の巨匠・白隠(はくいん)と仙厓(せんがい)のコレクターとしても知られる護立により、細川家の江戸下屋敷跡に設立された。[下段]肥後細川庭園・・・細川家が屋敷の敷地内につくった池泉回遊式庭園。広さは約2万㎡。昭和34年(1959)に東京都が当時の所有者から買い上げ、昭和50年(1975)に文京区に移管された。永青文庫へは庭園からもアクセスできる。【撮影:寺社Now】

美術の殿様・細川コレクション
飄々と笑いを誘い、ゆるふわっと教えへと導く仙厓さん。

永青文庫(東京文京区)の「仙厓ワールド ―また来て笑って!仙厓さんのZen Zen 禅画」が開幕した。2016年に美術ファンを驚かせた「仙厓ワールド―来て見て笑って!仙厓さんのゆるカワ絵画―」展につづく第2弾だ。そえゆえに副題で「また来て笑って!」と呼びかけている。

江戸時代の後半を生き、“仙厓(せんがい)さん”と親しみを込めて呼ばれた仙厓和尚は、江戸中期の白隠(はくいん)と並ぶ禅画の大家として著名だ。素朴で味わい深く、軽妙洒脱で天真爛漫、飄逸で親しみやすい。「〇△□」の図形だけをしたためた禅画でつとに有名だ。

仙厓のコレクションとしては、東京・出光美術館と福岡市美術館にまとまったものがあるが、永青文庫にて2016年に開催された「仙厓ワールド」第1弾において、“美術の殿様”として知られる旧熊本藩主・細川家16代当主、細川護立(もりたつ、1883-1970)のコレクションが初公開され、その全貌が明らかになり評判を呼んだ。今回は、そのうちの選りすぐりの作品が改めて公開されるほか、仙厓周辺の禅僧による書画などこれまでほとんど取り上げられる機会のなかった知られざる禅画もあわせて展示される。

会場風景。現在の建物は旧細川侯爵家の家政所(事務所)として昭和初期に建設された【撮影:寺社Now】

美濃国(現在の岐阜県)に生まれ、武蔵国永田(現在の神奈川県横浜市)の東輝庵(現在寶林寺に合併)で月船禅慧(げっせん・ぜんね)に学んだ仙厓は、39歳で福岡博多にわたって臨済宗の開祖・栄西(えいさい/ようさい)が開いた聖福寺に住し、同寺の復興に努力した。そして60歳を超えてから書画の才をあらわし、地域の人たちと交流し、あらゆる人々の求めに応じて即興的に筆を振るった。

仙厓は、生涯に3度、高僧の証である紫衣(紫色の法衣)を中央から推挙されながらそれを拒み、民衆と同じ粗末な木綿の黒衣を身にまとって生涯をすごしたという。本展は、禅画を通じてその人柄に触れ、生き方に学ぶ絶好の機会ともなる。それも、思わずニヤリと笑みを浮かべながら。

禅画とは
江戸時代以降の禅僧が描いた絵画のことをいう。画題は、禅宗の始祖・達磨図、各宗派の重要な僧を描いた祖師図、禅の修行や悟りの瞬間などを絵にした禅機図、釈迦図や観音図といった仏画、布袋をはじめとする福神図のほか、風景画、動物や植物を描いたもの、市井の人々を題材にしたものまでさまざま。特に白隠と仙厓は、幅広い画題を手がけており、バラエティーに富んだ禅画を数多くのこしており、近年人気が高まっている。
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細川護立と禅画
永青文庫の設立者・細川護立(1883-1970)は、16歳の頃に肋膜を患い、療養中に白隠慧鶴の『夜船閑話』を読んだことをきっかけに、白隠作品を集め始めた。護立は自ら白隠ゆかりの地を巡りながら蒐集を進め、大正10年(1921)には自身の白隠コレクションを公開する展覧会を開催。翌年、主要な出品作140点余りをまとめた豪華な画集『白隠墨蹟』を刊行している。護立の禅画蒐集は白隠のみにとどまらず、弟子の東嶺円慈や遂翁元盧、さらに仙厓義梵と誠拙周樗など、近世禅僧の書画を幅広くコレクションした。さらに書画とあわせて禅僧遺愛の品々も入手しており、本展では、仙厓の手がけた茶杓や誠拙旧蔵と伝える茶碗と水滴も紹介されている。

[左]仙厓義梵「七福神図」 江戸時代後期(19世紀)【前期展示】、[中央]同「鍾馗図」 江戸時代後期(19世紀)【前期展示】、[右]同「人形売り図」 江戸時代後期(19世紀)【後期展示】 いずれも永青文庫蔵

[左上]仙厓義梵「臨済図」 江戸時代後期(19世紀)【通期展示】、[右上]同「虎図」 江戸時代後期(19世紀)、賛文:猫か乕(虎)か當て見ろ(意味:猫か虎か当ててごらん)【通期展示】、[下]同「野雪隠図」 江戸時代後期(19世紀)、賛文:人ハこんそふな(意味:人は来ないようだ)・・・野雪隠とはいわゆる野グ●のこと。画題としてユニークすぎるが、添えられた賛文がまた秀逸で笑いを誘い、そしてまたなぜか考えさせられる。【後期展示】 3点とも永青文庫蔵

誠拙周樗「一つ目小僧図」 江戸時代後期(18世紀末~19世紀)永青文庫蔵・・・誠拙周樗(せいせつ・しゅうちょ)は仙厓の兄弟子にあたる

今回、永青文庫と近接するホテル椿山荘東京では、地域の魅力をエリアで発信する企画として、会期中にコラボレーションランチを実施。ホテル内の日本料理みゆきにて、前出の仙厓「虎図」(写真左)をイメージした寿司御膳に展覧会チケットが付いたプランが用意されている(写真右は寿司御膳の一部)【撮影:寺社Now】
〈期間〉2022年5月21日(土)~7月18日(月・祝)、〈時間〉11:30~14:30 、〈料金〉食事+チケット付きプラン 1名¥8,000、食事のみ 1名¥7,700(いずれも税・サービス料込)※ 3日前までの予約制 ※永青文庫休館日はチケット付きプランの販売はなし、〈予約・問合せ〉 ホテル椿山荘東京 03-3943-5489

[写真上]旧山縣有朋邸に立地するホテル椿山荘東京では2020年から、霧に包まれた幻想的な情景を楽しむ庭園の演出「東京雲海」が毎日実施されている。シンボルの三重塔「園通閣」は、平安期の歌人・小野篁ゆかりの寺院「篁山竹林寺」を起源とし、大正期に移築された。[写真中段]庭園内には、左の七福神をはじめ、寺社Now読者なら気になるポイントがいくつもある。写真中央の青面金剛像が刻まれている石塔は、寛文9年(1669)に造られたと伝わる道教の庚申信仰に由来する「庚申塔」。江戸時代、早稲田から関口台に抜ける野道がこのあたりにあり、その名残を今に伝えている。写真中段右は、江戸中期の画家・伊藤若冲の下絵による五百羅漢のうちの20体(写真はその一部)。京都・伏見の石峰寺に置かれていたものと伝えられている。[写真下段]ホテル椿山荘東京 正面入り口【撮影:寺社Now】

【永青文庫】「仙厓ワールド−また来て笑って!仙厓さんのZen Zen 禅画−」
会期
前期:2022年5月21日(土)~6月19日(日)
後期:6月22日(水)~7月18日(月・祝)
開館時間
10:00~16:30 (入館は16:00まで)
料金
一 般:1000円
シニア(70歳以上):800円
大学・高校生:500円
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方及びその介助者(1名)無料
休館日月曜日(ただし7/18 は開館) 、6/21(火)
公式サイト https://www.eiseibunko.com/exhibition.html
会場
永青文庫
住所
〒112-0015 東京都文京区目白台1-1-1
03-3941-0850
ホテル椿山荘東京

 

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監修:全国寺社観光協会

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