寺社Nowエゴドキュメント【京仏師・宮本我休】火災で焼け焦げた木材から釈迦如来を彫像する《後編》

完成後、お寺で佛に魂を入れる開眼法要を執り行いました。開眼法要とは眼を開くと書きますが、佛に魂を入れる法要のことを言います。この法要を行うことで木の造形物でしかなかったものが、ようやく”佛”としてお祀りすることができます。この佛がまた新たな〝柱〟となって、お家を守っていってもらいたいと思います。

開眼法要の日は朝から雨でしたが、お寺に近づくにつれ、晴れ間が見え始め、到着した時には日差しがまぶしい晴天に変わっていました。不思議なことに、どんなに雨が降っていても開眼法要の時は止むものなんですね。そのジンクスを今回も守ることができました。

今回のご依頼は、火災に遭われた檀家様のご自宅に御本尊として納めさせていただくということですので、一度お寺で法要をし、そこから徒歩でご自宅に移送するという流れでした。

いつも納めさせていただくときは施主様に喜んでもらえるか不安ですが、仏像のお顔の白紙をほどいたときの皆さんの反応を見て、気に入っていただけたという安堵感が沸き起こり、今まで張りつめていたものが一気にほどけていくのを感じました。お寺様がお経をあげ、法要が無事終わった時には、約1年間この佛と向き合ってきたことを思い返し、達成感と充実感でいっぱいです。

そしていよいよご自宅に移送し、新たに設けられたお仏壇にしっかりと安置させていただきます。

次ページ:いよいよご自宅の仏壇に

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監修:全国寺社観光協会

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