鬼伝説が残る大江山の麓 京都・福知山市の大江地域で、交通空白地を救う!</ h2>
京都府福知山市内にある、鬼伝説が残る大江山の麓・大江地域では、過疎化に伴い公共交通サービスの維持・確保が厳しさを増す中でも地域住民の日常的な移動手段を確保するため、地域組織「大江まちづくり住民協議会」が実施主体となった地域住民の自家用車(マイカー)による送迎サービス、愛称「鬼タク」が、2021年7月1日(木)からスタートします。
「鬼タク」は、地域主体の「助け合い交通」であり、地域組織と、運営協力する地元タクシー会社・ふく福タクシーによる京都府初の「事業者協力型有償運送」の取組です。また、生活利用と観光利用の2本柱として運行することも特徴です。昨今の鬼ブームにより、大江山や鬼の博物館など観光資源のある「鬼エリア」として注目が高まっている大江地域で、土・日・祝日に訪れた観光客も「鬼タク」を利用できます。
運行開始にあたり、これからの事業の発展と安全な運行を祈念し、7月1日に大江町鬼瓦公園にて、出発式が開催されます。
■「鬼タク」の仕組み
今回、新たに始まる送迎サービス「鬼タク」は、「自家用有償旅客運送」という制度のうち、バスやタクシーなどの公共交通では地域住民の移動手段が十分に確保できない場合(=交通空白地)に、地域組織やNPO法人等が自家用車を使用して、営利とは認められない範囲の運賃で運行する「交通空白地有償運送」という運送制度を活用したものです。
特徴としては、
1.自家用自動車(白ナンバー)で運行できる
2.第一種運転免許+大臣認定講習を受講すれば、地元住民もドライバーになれることがあげられます。
※いずれも諸条件あり
「鬼タク」では、運転会員として大江まちづくり住民協議会に登録した地域住民が、講習を受講してドライバーとなり、同じく大江地域に住む移動手段に困っている住民を送迎する、地域主体の「助け合い交通」が可能になります。
■地域住民の利用方法
▷利用者 大江地域にお住まいの方で会員登録した方
▷運行方式 ドア・ツー・ドア(自宅の前から目的地まで運行)
▷運行区域 大江町内全域を区域運行(大江地域内の移動に限定)
▷運行日 月曜日~土曜日(祝日、12月29日~1月3日を除く)
▷運行時間 午前8時30分~午後5時00分
▷運賃 片道400円/回の均一運賃 ※乗合の場合も、お一人ごとに運賃がかかります。
▷予約方法 ふく福タクシー 鬼タク専用ダイヤル(Tel:0773-33-5533)に電話する。
▷予約期限 利用希望日の前日の正午までに要予約
▼ラストワンマイルを担う
地方部では高齢化も深刻な問題であり、バス路線や鉄道が地域にあっても、バス停や駅までの移動が困難な方が今後ますます増えることが予想されます。この「ラストワンマイル」を補完することが、持続可能な交通モデルの構築に欠かせません。
「鬼タク」の生活利用は、大江地域内に限定して、自宅の前から目的地までドア・ツー・ドアで運行し、ラストワンマイルを補完する役目を果たします。このように既存のバス、鉄道と役割を分けることで、それぞれが共存し、相互補完する効果的な交通ネットワークを目指しています。
■観光目的での利用方法
▷利用者 観光目的であればどなたでも利用可能
▷運行方式 大江駅から観光地を結ぶ定路線運行
▷運行路線
①大江駅~元伊勢外宮豊受大神社~元伊勢内宮皇大神社~元伊勢天岩戸神社~二瀬川渓谷~酒吞童子の里(大江山グリーンロッジ・日本の鬼の交流博物館)~⿁嶽稲荷神社
※酒吞童子の里~⿁獄稲荷神社の区間は5月1日~11月30日に限り運行します。
②大江駅~あしぎぬ大雲の里~才ノ神の藤
※才ノ神路線は4月15日~5月15日に限り運行します。
▷運行日 土・日・祝日(12月29日~1月3日を除く) ※事前予約制
▷運行時間 午前5時から午後5時まで(2021年7月1日~11月30日)
以降、12月1日~4月30日は、午前8時30分~午後5時まで
5月1日~11月30日は、午前5時から午後5時まで
▷運賃 片道800円/回の均一運賃 ※乗合の場合も、お一人ごとに運賃がかかります。
▷予約方法 ふく福タクシー ⿁タク専用ダイヤル(Tel:0773-33-5533)に電話する。
▷予約期限 利用希望日の前々日の午後5時までに要予約
▼観光客の移動ニーズにも対応
これまで、自家用有償旅客運送は主に地域住民の生活交通として利用されてきましたが、令和2年11月の法改正により、観光客を含む当該地域への来訪者も自家用有償旅客運送を利用できることが明確化されました。これにより、地域住民の生活移動ニーズだけでなく、インバウンドを含む観光客の移動ニーズにも対応でき、地域内の移動ニーズへの包括的な対応が可能になります。
▼鬼タクの観光利用
「鬼タク」が運行する京都府福知山市大江町には、酒呑童子などの3つの鬼伝説が伝わる大江山があります。現在、「鬼」への注目が高まる中、酒吞童子=「最強の鬼のまち」として観光誘客に力を入れています。また、大江山の8合目に位置する鬼嶽稲荷神社は雲海の名所としても知られているほか、鬼嶽稲荷神社に至るまでに、伊勢神宮にゆかりのある元伊勢三社が鎮座し、多くの観光客が訪れます。
「鬼タク」は、大江町の玄関口となる大江駅(京都丹後鉄道宮福線)を起点として、大江山の鬼嶽稲荷神社までを結ぶ定路線運行となっており、途中の観光地(元伊勢三社、大江山グリーンロッジなど)で途中下車することができるため、これらの観光スポットへのアクセスとして利用することができます。料金は片道800円の均一運賃です。
また、4月から5月の藤の花の開花期間にかけては、京都府天然記念物にも指定されている藤の花の名所「才ノ神の藤」にも運行しています。
■京都府初の「事業者協力型有償運送」
地方部を中心とした人口減少の本格化、運転者不足の深刻化等に伴って、公共交通サービスの維持・確保が厳しさを増している中、地域の暮らしと産業を支える持続可能な運送サービスを確保することが急務となっています。
そのような状況を踏まえ、令和2年11月に、国の法律が改正され、新たに創設された制度の一つが「事業者協力型有償運送」です。これは、バス・タクシー事業者が有償運送における運行管理・車両整備管理などで、有償運送の実施主体に協力する制度であり、以下のようなメリットがあります。
▷利用者・・・・・・・・・・・・ より安全で、より便利な交通サービスを利用することができる。
▷有償運送実施主体・・ 交通のプロの運行ノウハウを活用でき、業務負担の軽減が図られる。
▷交通事業者・・・・・・・・ 運行管理のノウハウを用いた新たな収益源を確保できる。
このように、関係三者それぞれにメリットがあり、持続可能なモデルとして期待されています。
▼福知山市の「事業者協力型有償運送」モデル
「鬼タク」は、京都府内で初めて、この「事業者協力型有償運送」として登録を受けており、福知山市内に本社を置き、「ふく福タクシー」を運行する有限会社慶和様が、運行管理・車両整備管理・予約受付などを担います。