千葉大学と博学連携で取り組む 3D技術で歴史を身近に感じ、展示のバリアフリー化につながる「触(さわ)れる展示」を開催中

「I’Museum Center」開館から約2か月で入館者数7,600人突破

市原歴史博物館のプレスリリース

市原市の歴史遺産の価値と魅力を分かりやすく伝え、市民の歴史・文化活動や交流を支える拠点施設「I’Museum Center(市原歴史博物館)」は、開館から約2か月で入館者数7,600人(2022年11月20日~2023年1月19日)を突破しました。
2023年1月より、千葉大学大学院の工学研究院デザイン文化計画研究室(植田憲教授)と連携し、展示物に実際に触れて歴史を体感いただく「触(さわ)れる展示」を開催しています。

本博物館では、千葉大学大学院の工学研究院デザイン文化計画研究室(植田憲教授)や地元の方たちと連携しながら、平成30年度より市の文化財の3Dデータを取得し、「触れる展示物」の製作を進めてきました。実際に触ってもらうことでより歴史を身近に感じ、また、視覚障害を持つ方々にも博物館を楽しんでもらうべく展示のバリアフリー化にもつなげられるよう取り組んできました。

この度、「触れる展示」の第一弾として、縄文時代の「イノシシ形土製品」、弥生時代の「人面付土器」、古墳時代の「金銀装単龍環頭大刀(きんぎんそうたんりゅうかんとうたち)」の柄部分、平安時代の「灰釉花文浄瓶(かいゆうかもんじょうへい)」、江戸時代の「光厳寺(こうごうんじ)本堂の欄間彫刻「波に龍」を展示しています。
※感染症予防策として、アルコール消毒台を設けていますので、展示物に触る前後の消毒にご協力ください。

「I’Museum Center(市原歴史博物館)」
市原市では、市内の歴史遺産の価値や魅力を市民により分かりやすく伝えるため、既存の「埋蔵文化財調査センター」を増築・改修し、2022年11月20日(日)に「I’Museum Center(アイミュージアムセンター)」を開館しました。施設の愛称「I’Museum Center」は、「市民を、主人公に。」という本館のコンセプトを表現しています。市の歴史遺産の価値と魅力を後世に継承しながら、市民の歴史遺産を核とした活動や交流を支える「歴史をつなぐ、人をつなぐ」博物館を目指しています。
大人から子どもまで多くの方に来館いただき、市原市の歴史を体感いただいています。

▪「触れる展示」展示品について

※「触れる展示」では、3D造形物を展示しています。

イノシシ形土製品(千葉県指定文化財)
時代:縄文時代晩期 出土地:能満上小貝塚(のうまんかみこかいづか)
全体の形が分かるまま残された貴重な資料です。イノシシの特徴である大きな鼻や背中の盛り上がり、爪先立ちの脚部などが上手く表現され、微笑んでいるように見えるのは市原市内から出土する動物形土製品の共通した特徴です。

 

人面付土器(市原市指定文化財)
時代:弥生時代中期 出土地:三嶋台遺跡
人の形をした土器で、弥生時代の人面土器は、縄文時代の終わり頃に初生児骨や歯が納められた容器形土偶の系譜上に作られたものと考えられています。三嶋台遺跡の例は、高さ18センチメートルと小型なものの、穏やかに空を仰ぐような顔の表情や保存状態の良さ、手を表現している珍しい作例として、弥生時代の人面付土器を代表する遺物と言えます。

 

金銀装単龍環頭大刀(きんぎんそうたんりゅうかんとうたち)
(市原市指定文化財)
時代:古墳時代 出土地:姉崎山王山古墳(あねさきさんのうやまこふん)
山王山古墳出土の金銀装単龍環頭大刀は、環頭部の楕円環が龍の胴体と脚を忠実に描いており、楕円環の胴体からのびた単独の龍が、火炎を放射している様子が鋳造されています。このように精巧な作りの環頭大刀で、環頭から鞘尻まで良好な保存状態で出土した例は国内では類例が乏しく、銀線巻きの柄は、当時の装飾大刀の中でも格上の製品だったと考えられます。山王山古墳の被葬者がいかに有力な人物だったかを物語る重要な資料と言えます。
※「触れる展示」は「金銀装単龍環頭大刀」の柄の部分になります。

 

灰釉花文浄瓶(かいゆうかもんじょうへい)(市原市指定文化財)
時代:平安時代 出土地:荒久(あらく)遺跡
猿投窯(現在の愛知県)で焼かれた灰釉陶器で、器面に花・雲・草の文様を陰刻した浄瓶です。浄瓶は、水瓶の一種で元来は僧侶の日常品の一つであったものが、仏前供具として使用されるようになったものと考えられます。
荒久遺跡の例は、洗練された形に加え、他の灰釉浄瓶にはない花雲草文をあしらった逸品として、世界的に知られています。


光厳寺(こうごんじ)本堂の欄間彫刻「波に龍」(市原市指定文化財)

時代:江戸時代後期 所在地:大和田光厳寺
武志伊八郎信由(たけしいはちろうのぶよし)(初代伊八)が製作した欄間彫刻です。初代伊八は、安房国長狭郡下打墨村(ながさんぐんしもうっつみむら)(現、鴨川市)の出身で、上総や安房に多くの彫刻を残しています。波に代表される繊細な彫りと大胆な構図、ボリュームのある立体表現を得意とし「波の伊八」と称されました。この彫刻には製作年代が記されていませんが、光厳寺の記録から文化3年(1806)以前の製作と分かりました。
※「触れる展示」は、70%の大きさで製作した欄間の龍の頭部と波の部分です。

▪千葉大学との包括連携協定

2019年4月9日、市原市と国立大学法人千葉大学は、地域社会の発展と人材育成を目的として、包括連携協定を締結し、「いちはら歴史のミュージアム事業(3D技術による「触れる展示」の検討)」が、連携事業の一つに認定されました。
博物館施設や展示のバリアフリー・ユニバーサルデザインに関する課題検討にあたり、市内に居住する障がい者の方々と意見交換を行い、「触れる資料の展示」や「オリジナルグッズの開発と福祉作業所等での商品製作」に関して意見をいただいたことをきっかけに、千葉大学デザイン文化計画研究室(植田憲教授)と連携し、本市の文化財の三次元測定を行い、「触れる展示物(レプリカ)」の製作や「ミュージアムグッズ」の開発を進めてきました。

▪開館概要

開館時間:9:00~17:00
休館日 :月曜日(ただし祝日の場合、翌平日)年末年始
場所  :千葉県市原市能満1489
観覧料 :一般300円 高校生200円 中学生以下無料
団体(20人以上)は各100円引き
問い合わせ先:0436-41-9344
https://www.imuseum.jp/

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監修:全国寺社観光協会

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