入江泰吉記念奈良市写真美術館展覧会 4/8~6/25 池本喜巳「記憶のとびら」/入江泰吉写真展「息づく、大和」

故郷を撮り続ける写真家・池本喜巳と入江泰吉

奈良市役所のプレスリリース

このたびは故郷を半世紀にわたって撮り続ける写真家・池本喜巳と入江泰吉を取り上げて展示構成します。いずれも二人は、自身の生れ育った地で、半世紀にわたって風景やそこで暮らす人々、行き交う人たちを撮り続けてきました。

入江泰吉にいたっては、奈良大和路の風景に漂う、目に見えない歴史の気配をいかにとらえ、大和路の風景を表現できるのか苦心してきました。風景のなかに溶け込んでいる歴史の気配を、肌で感じ取りながら、時間と巡る季節のなかでシャッターチャンスをねらってきたのです。今回は「息づく、大和」と題して、古から大和に息づき神々の気配が感じられる風景や、豊かな自然のなかで連綿と暮らしてきた人々の姿を撮った里景色など、モノクロとカラー作品37点で展示構成しました。入江作品から歴史が息づいている大和路を紹介します。

写真家・池本喜巳が撮る故郷は鳥取です。鳥取には三徳山三佛寺という寺があり奈良とゆかりの深い地です。ここは修験道の祖である役小角(えんのおづぬ)が三弁の蓮花を散らしたところ、その一つがここに落ちたとされ修験の行場です(他に奈良・吉野、愛媛・石鎚山)。奥の院「投入堂」は役行者が法力で投入したと言われ、その建築方法は未だに分かっていません。写真家の土門拳は「日本第一の建築は、と問われたら、三佛寺投入堂をあげるに躊躇しないであろう」と語っていた。
そうした歴史が色濃く漂う鳥取を池本は、半世紀にわたって風景やそこに暮らしている人たちのスナップやポートレート、三徳山の風物を撮り続けています。池本の代表作のひとつ「近世店屋考」にいたっては、消えゆく個人商店とそこの主人を大型カメラ(8×10インチ)で、そこの店の佇まいを鮮明に、空気感までも写真に記録されています。

入江泰吉と池本喜巳の写真からは、それぞれ撮影地の風土の違いはありますが、その根底には、私たちが忘れかけている日本の古き良き時代の人のあたたかさが写し込まれています。
池本と入江、二人が真摯に取り組んできた日本の風景と暮らしをご覧ください。

▪池本喜巳写真展

作品点数…約100点
内訳:近世店屋考/そでふれあうも/三徳山三佛寺/精霊の山

※このたび池本喜巳をはじめ、鳥取県立博物館の主任学芸員・赤井あずみ氏と協働し展覧会をつくりました。
※展示初日には、池本喜巳(写真家)×赤井あずみ氏(鳥取県立博物館主任学芸員)×大西洋(当館館長)×説田晃大(当館主任学芸員)4人による、ギャラリートークを開催します。

「近世店屋考」
〈田淵畳店/鳥取県八頭郡河原町渡一木/1985(昭和60)年/近郷では知られた畳作りの名人。発砲スチロールやナイロンの畳の多い中、昔ながらのい草で、畳作りを続ける。右下に写っているジャガイモをお土産に頂いた。〉

入江泰吉写真展

作品点数…37点
内訳:カラー作品=26点/モノクロ作品=11点

「百毫寺村」1950年代

▪ギャラリートーク

4月8日(土)午後2時~
池本喜巳(写真家)×赤井あずみ(鳥取県立博物館 主任学芸員)×大西 洋(当館館長)×説田晃大(当館学芸員)
※申込不要、要観覧券

池本 喜巳 IKEMOTO Yoshimi

1944年(昭和19)鳥取市生まれ。1967年(昭和42)、日本写真専門学校(現:日本写真映像専門学校 大阪校)卒業。1970年(昭和45)、鳥取市に池本喜巳写真事務所設立。1977年(昭和52)より写真家・植田正治の助手を務めながら(~96年)、ライフワークとして鳥取市を中心に、山陰の風景や個人商店、人物などを記録している。また、従来の写真の概念にとらわれず、写真の持つ可能性を追究した現代アート的な作品づくりも行い、国内外で発表している。2016年(平成28)4月23日、「池本喜巳小さな写真美術館」を鳥取県鳥取市吉方温泉1丁目655にオープンした。

入江 泰 IRIE Taikichi

1905(明治38)年11月5日、奈良市に生まれる。1931(昭和6)年、大阪に写真店「光藝社」を開き、文楽の写真家として活躍。1945(昭和20)年3月の大阪大空襲で自宅と店舗を焼失、奈良へ引き揚げる。同年11月17日、疎開先から戻る東大寺法華堂の仏像を目撃、アメリカに接収されるとの噂を聞き、写真に記録することを決意。以来、奈良・大和路の仏像、風景、伝統行事の撮影に専念。晩年には「万葉の花」を手がけるなど約半世紀にわたって撮り続けた。1992(平成4)年1月16日、86歳で逝去。同年4月、入江泰の全作品を収蔵した奈良市写真美術館が開館。2015(平成27)年3月、戦後から亡くなるまで暮らした住居を「入江泰旧居」として一般公開。

●主催: 奈良市、入江泰吉記念奈良市写真美術館(一般財団法人奈良市総合財団)
●開館時間:午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
●休館日:月曜日。
●観 覧 料:一般500円/高校・大学生200円/団体(20名以上)2割引
毎週土曜日、小・中・高校生無料/障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方無料/奈良市在住の70歳以上の方無料
●作品解説:毎月第2・第4土曜日 午後2時~
●住所:〒630−8301奈良市高畑町600-1TEL 0742-22-9811/FAX 0742-22-9722 http://naracmp.jp

▪お問い合わせ

入江泰吉記念奈良市写真美術館
Tel: 0742‐22‐9811
mail: info@naracmp.jp

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監修:全国寺社観光協会

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