渋谷慶一郎のアンドロイドとオーケストラによる大規模オペラ『アンドロイド・オペラ』東京公演にて AIを用いたイメージ生成と、動きをリアルタイムに読み取るセンシングデバイスを連動させた新しい映像表現を披露

電通のクリエーティブR&D組織「Dentsu Lab Tokyo」

Dentsu Lab Tokyo運営事務局のプレスリリース

テクノロジーを起点とした社会課題の解決や、あたらしい表現開発を実践するDentsu Lab Tokyoは、6 月18日(火)に恵比寿ガーデンホールにて開催される音楽家である渋谷慶一郎さんがコンセプトと作曲を務め、アンドロイドの歌手が中心となる大規模オペラ作品「アンドロイド・オペラ」にて、第1部「Super Angels」の映像の演出を担当します。

「Super Angels」の楽曲からインスピレーションを得た天使像を、2つのイメージ生成AIネットワークで映像化。同時に、「ホワイトハンドコーラスNIPPON」の子どもたちの手歌(しゅか=手話のハンドサインで合唱すること)のモーションを、独自開発したセンシングデバイスで抽出。そのイメージを、リアルタイムで映像に織り交ぜることにより、芸術表現に対してテクノロジーによる多角的なアプローチを行います。


渋谷慶一郎が主催する『アンドロイド・オペラ』とは

6月18日(火)恵比寿ガーデンホールにて、渋谷慶一郎の作曲・プロデュースによるアンドロイド・オペラ『MIRROR』の東京凱旋公演が決定。本作は昨年パリ・シャトレ座で上演されたアンドロイドとオーケストラ、1200 年の歴史を持つ仏教音楽・声明と渋谷氏自身の演奏によるピアノ、電子音楽、そして映像、照明によって構成される大規模な劇場作品。2022 年にドバイ万博にて発表、翌年には70 分の作品として再制作、パリ初演を経て今回が日本初演となります。

また本公演では、2021 年に新国立劇場の委嘱により初演された、子どもたちとアンドロイドが創る新しいオペラ 『Super Angels』の抜粋が前半の第一部として披露されます。「ホワイトハンドコーラスNIPPON」による児童合唱が参加、渋谷氏によるピアノとオーケストラの演奏に加えて、Dentsu Lab Tokyo岸裕真によるAI を用いた映像と、子どもたちの衣装はHATRA とのコラボレーションも予定しています。

東京でのアンドロイド・オペラ単独公演は2018 年に日本科学未来館で行われた初演以来6年ぶりの開催となり、世界巡回を経てどのような進化が見られるか注目は尽きません。「終わりの後」を祝祭、シミュレーションする儀式的空間が一夜限り、恵比寿に出現します。
6月18日のチケットは完売。

第一部‘SuperAngels’excerpts.について

第一部‘SuperAngels’excerpts.では、アーティストでもある岸裕真をはじめとするDentsu Lab Tokyoが映像表現を担当します。コンセプトは“現代社会で漂白された「天使」のイメージの脱構築”。2つのイメージ生成ネットワークを用いて、新たな天使像をスクリーンに浮かび上がらせます。また、障害の有無に関わらずどんな子どもたちでも参加できるインクルーシブな合唱団であり、手話の表現で歌う「サイン隊」と、声で歌う「声隊」によって構成される「ホワイトハンドコーラスNIPPON」ともコラボレーション。独自開発したウェアラブルセンシングデバイスを用いて、サイン隊の手歌のモーションをリアルタイムに抽出。映像と織り交ぜることで、従来のオペラ芸術に対し、テクノロジーによる多角的で革新的な表現に挑戦します。

独自のセンシングデバイスについて

ハードウェア:「ホワイトハンドコーラスNIPPON」の象徴である、白い手袋の内部に、手歌の空間軌道をセンシングするウェアラブルデバイスを開発。手歌の表現を中心に見せるために、デバイスの装着感を限りなく軽減しました。また、ファッションブランド「HATRA」が今回のオペラためにデザインした衣装に合わせ、審美性を担保するデザイン・設計・開発を行なっています。

ソフトウェア:手歌の豊かな表情と迫力ある動きから生まれるイメージを臨場感を持って伝えるために位置に加えて、速さや勢いなどの情報を踏まえて、動きの抑揚を反映させる独自のフィルタを開発しました。このシステムにより、手歌と映像との一体感が高まる表現を目指します。

公演概要

公演名:Android Opera TOKYO – MIRROR/Super Angels excerpts.
日時:2024 年6 月18 日(火)開場18 時、開演19 時
会場:恵比寿ガーデンホール(〒153-0062 東京都目黒区三田1丁目13)
チケット:完売

【参加アーティスト】
第1部 Super Angels excerpts.
ピアノ、エレクトロニクス:渋谷慶一郎
ヴォーカル:アンドロイド・オルタ4
コーラス:ホワイトハンドコーラスNIPPON(声隊指揮:加藤洋朗、サイン隊指揮:コロンえりか)
ソロバイオリン:長野礼奈
オーケストラ:Android Opera TOKYO Orchestra(コンサートマスター成田達輝)
アンドロイドプログラミング:今井慎太郎
映像:岸裕真
衣装(ホワイトハンドコーラスNIPPON):HATRA、NOVESTA

第2部 Android Opera MIRROR
ピアノ、エレクトロニクス:渋谷慶一郎
ヴォーカル:アンドロイド・オルタ4
高野山声明:山本泰弘、柏原大弘、谷朋信、亀谷匠英
オーケストラ:Android Opera TOKYO Orchestra(コンサートマスター 成田達輝)
映像:Justine Emard
アンドロイドプログラミング:今井慎太郎

Dentsu Lab Tokyo 岸裕真コメント

「天使」は超常的な領域と日常的な領域の橋渡しとして、私たち人間社会でシンボル化されています。元来の宗教的な象徴性は漂白され、いつしか単に「福音をもたらす兆し」として描写されることが多くなりました。しかしながらもともとは厄災をつげる役割を持っていたなどと、その性格は実は両義的です。

渋谷慶一郎という音楽家は、人間が築き上げてきた境界の脆さを露呈し、鑑賞者をその境界の先へ誘います。現代においても特異な音楽生成を行う彼や彼とアンドロイドが共創する公演は、天使が元来持っていた両義的な役割、福音と厄災の到来を告げるそれにかなり近しいものかもしれません。

今回私は現代社会で漂白された「天使」のイメージの脱構築を、2つのイメージ生成ネットワークを用いて行います。
そしてそれらのAIネットワークによって紡がれる映像は、Dentsu Lab Tokyoが制作するセンシングデバイスを介してホワイトハンドコーラスNIPPONの手歌によりエンハンスされ、当日スクリーンへ上映されます。

東京に6年ぶりの凱旋となるアンドロイドオペラにおいて、今日的なAIテクノロジーとアンドロイドAlter4、ホワイトハンドコーラスNIPPONの子どもたち、そして渋谷慶一郎の演奏により編まれる空間装置が、鑑賞者を巻き込んでどんな場所へ連れてってくれるのか、参加者である私もとても楽しみです。

Dentsu Lab Tokyoについて

Dentsu Lab Tokyo(デンツウラボトウキョー)は、研究・企画・開発が一体となったクリエイティブのR&D組織です。「PLAYFUL SOLUTION」「おもいもよらない」をフィロソフィーとしながら、デジタルテクノロジーとアイデアによって、人の心を動かす表現開発や、いま世の中が求める社会の課題解決を実践しています。
公式サイトhttps://dentsulab.tokyo/

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監修:全国寺社観光協会

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