海を越え世界へ広がった支援の輪。497人の思いが成功を導いた
――2021年の修正鬼会の開催にあたり、越境クラウドファンディングを活用したきっかけは?
2020年の夏ごろから開催可否を議論しましたが、都市部からの観光客が多く、地域の方から新型コロナ感染拡大への懸念の声が上がりました。これを受けて、11月に無観客の開催を決めました。
「この状況でしかできない修正鬼会を」とライブ配信のアイデアが生まれ、行政などに働きかけていたとき、「MATCHA」CMOの齋藤慎之介さんと知り合いました。MATCHAさんは、全世界に向けた越境クラウドファンディングのプラットフォーム「Japan Tomorrow」を運営しており、そこでお話をいただいたのがきっかけです。
――年明けにかけて、一気にクラウドファンディング実施に舵を切ったそうですね。
もともと、インバウンド観光客や、祭りを応援してくださる方々に向けたコンテンツを計画していたところでした。そこで、文化財の価値がどう捉えられているのかを測る調査や、祭りを取り巻く新しいコミュニティづくりの足がかりとして挑戦することにしたのです。
例年の松明づくりの費用などから、目標額を200万円に設定。寄付に対する返礼品にあたる「リワード」は、ライブ配信視聴チケット(500円)のほか、日帰り特別参拝(5万円)など、これまでの「巡る会」でのコンテンツを活かして7種類を用意しました。宿坊への宿泊付きの特別貸切ツアー(50万円)を購入してくださった方を含め、497名のご支援をいただき、2週間ほどで目標額を達成できました。
――プロジェクトには海外からの支援も多かったんですよね。
Japan Tomorrowでは、英語・中国語・タイ語でも掲載されました。アメリカ、台湾、オーストラリアなどからの支援があり、購入数のうちの約25%が海外からという結果に。文化財・芸術という観点で修正鬼会に魅力を感じてくださったようです。日本人には当たり前と思われるようなものが、異国の方から違う形で評価されていることを実感しました。