新連載スタート!お寺漫画コンシェルジュ☆ほーりーの「本日開館!お寺系マンガ図書館」

空き寺を活用した社会実験「お寺のマンガ図書館」の誕生と展開

お寺というと、一般の人からすると解読不能なお経や修行、あるいはお葬式やお墓といったイメージしかなく、どこか近寄りがたいものがあるかと思います。でも、もし、そこに「マンガ」があったら……。

お寺の廊下や広間の本棚に、古色蒼然としたぶ厚い仏教書が並んでいる光景をこれまでに数多く見てきました。お寺の権威付けや信頼の創出という演出的な観点からみれば、それはそれで意味があるかとは思います。ただ、逆にその威圧感が、ますます近寄りがたい印象を与えてしまっているかもしれません。

もしその本棚に、たとえば手塚治虫の『ブッダ』が並んでいたら、ふと手を伸ばしたりしないだろうか。実際私には、『ブッダ』をきっかけにリアルなお釈迦様のストーリーに興味をもったという若い頃の経験があります。そうしたことをうっすらと考えていたところに、空き寺活用のお話をいただいたのです。願ってもない社会実験のチャンス到来です。

そこで、『ブッダ』のほかにもいろいろなバリエーションを取りそろえて並べようと考え、お寺系のマンガについて調べに調べ、子供向けから大人向けまで集めて、文字どおり朝から晩まで連日連夜読み漁りました。新作ゲームが出るとやめられなくなってしまうように、お寺系マンガの幅広さとその奥深さに魅了され、すっかり虜になってしまったのです。ミイラ取りがミイラに、というあれです。

『ブッダ』に代表される偉人や宗祖モノから、SFファンタジーやラブコメディ、壮絶なバトル系もあれば、等身大の日常を描いたシリアスな物語や終活を考える問題作まで、本当に多種多様な魅力的な作品が集まりました。

「お寺の漫画図書館」は、当初100冊程度の蔵書を想定していたが、お寺系マンガというジャンルの想定外の幅広さに気づき、結局230冊からスタート。さらに増殖して現在は蔵書300冊を超えている。念仏会やマンガに囲まれながらお坊さんと対話する茶話会「漫画てら(寺)ぴー」(寺×セラピー)など、お寺ならではのイベントも開催されている

最終的に230冊を蔵書として揃えて、「お寺の漫画図書館」(http://mangatosyokan.com/)を2015年(平成27)10月にオープン。僧侶でありマンガ家でもある悟東あすか先生にキャラクターも作っていただきました。

開館は週に2回。水曜17時から20時(休日・祝日の場合は休館)と、土曜10時から17時です。小さなお寺なので大勢が入れるわけではありませんが、定期的に通ってきてそこが自分の居場所になっている方もいるようです。

おかげさまでこの多聞院での社会実験をきっかけに、図書館や図書室、あるいはちょっとした本棚を作りたいという各地のお寺さんから相談を受けるようになり、蔵書リストの作成などお手伝いさせてもらっています。

なので、常にアンテナを張り巡らせて、お寺系マンガの情報をアップデートしていますので、そうした中から寺社Nowファンの皆さんにお薦めの作品を選んでご紹介していきたいと思います。

どうぞお楽しみに!

堀内克彦(お寺漫画コンシェルジュ☆ほーりー)プロフィール
1978年生まれ、千葉県出身。株式会社寺社旅代表。寺院を活用した「お寺の漫画図書館」をプロデュースするほか、寺社好き男女の縁結び企画「寺社コン」の主催、仏前結婚式や樹木葬のコンサルティングなども手掛けている。また寺社体験紹介サイト「宿坊研究会」を運営。著書に『宿坊に泊まる』(小学館)、最新刊『お寺は外からこう見える 寺院活性へのヒント』(発行:真宗大谷派難波別院)などがあるほか、『月刊住職』で「やればできる!寺院活性化のケーススタディ」連載中。

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監修:全国寺社観光協会

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