心身ととのう「寺サウナ」が熱い! 元祖〈蒸し風呂王国ニッポン〉の最新「お寺deサウナ」事情

四国お遍路の宿坊で地元体感「TERA SAUNA」。
サウナストーンにはお寺のアレを使用!
—高知県・岩本寺(真言宗智山派)—

「寺サウナ」のニューウェーブは、すでに四国八十八ヶ所霊場にも到達していた。

清流四万十川が流れる高知県四万十町。1300年の歴史を誇る37番札所の岩本寺(真言宗智山派)は、観光庁「令和2年度 城泊・寺泊による歴史的観光資源の活用事業」の観光振興事業費補助金を活用して、岩本寺宿坊を拠点とするまちぐるみの活性化プロジェクトを展開中だ。

ナチュラル(四万十川)、ウェルネス(癒し)、スピリチュアル(お遍路)をキーワードにした滞在型のプログラムを用意して、お遍路以外も立ち寄りやすい、あっと驚く四万十体験と感動を提供しようと画策している。このプロジェクトの一環で今年誕生したのが、寺の境内を見わたすことができる宿坊の2階デッキに設置された日帰り体験も可能な「TERA SAUNA」だ。

「ストーブに積み重ねて熱するサウナストーンには、屋根の葺き替えで使わなくなったお寺の瓦を使っています。いかにもお寺らしいでしょ(笑)」
と屈託なく笑うのは、地元で生まれ育ち、町の頼れる兄貴分的存在でもある窪博正住職。

薪ストーブの上に無造作に置かれた使用済み瓦

地元の有志とともに町を元気にしていく活動の中心人物でもある窪住職

四万十町産のヒノキで作られたサウナ小屋は、同じヒノキのオイルをブレンドした水を熱した瓦に自分でかけて温度を調節、セルフロウリュを楽しむスタイルとなっている。高温の窯で焼かれ、長い年月家屋を守ってきた伝統の粘土瓦は、ロウリュを行ってもはぜることがない。四万十の土を使って作られた瓦から立ち上る蒸気を浴びる、地域色豊かなお寺ならではのデトックス体験を心ゆくまで楽しむことができる。さらに夜には、サウナ小屋から出て、デッキチェアに横になって空を見上げれば、そこには満天の星が輝いているという贅沢なおまけも付いている。

サウナ利用者には作務衣が用意されている。薄オレンジ色に町が包まれる夕暮れ時もおすすめ

そのほかの滞在型プログラムとして、宿坊のお風呂やサウナも楽しめる「TERA CAMP」がある。お寺の敷地内に新設されたキャンプエリアで、BBQや焚き火を楽しむことができる。今後は定期的に境内でマルシェの開催も予定されているというから、地元の人との会話も楽しみになりそうだ。

四国霊場札所での伝統的な朝の護摩修行はもちろん、境内のお好みの場所で坐禅に打ち込むこともでき、希望があれば四万十川の清流に身を置いての坐禅も可能。

また、境内や門前町を歩くと、階段やベンチ、石畳などいたるところに、人気アーティストSHETA(シータ)が岩本寺に滞在して制作しているカラフルで力強い作品がそこかしこに描かれていて、まちを訪れる人を驚かせる。岩本寺の宿坊にはSHETAのイラストに囲まれた客室もあり、ファンにはたまらない魅力となっている。

まちは最近10年ですっかり衰退して、様変わりしてしまったと地元の人たちは口をそろえて言う。しかし、けっして手をこまねいて見ているだけではない。岩本寺を拠点として、移住したくなるような新しいまちづくりをしようとチャレンジを始めた志のあるチームがここにはある。四万十の「TERA SAUNA」は、そのシンボルだ。寺が仏教施設であると同時に、地域のコミュニティセンターであり、地域文化のプロデューサー的な役割を果たすことを、サウナで滲み出る汗のように、身体の芯からジワジワと感じさせてくれる。

 


■真言宗智山派岩本寺(窪博正住職)

〒786-0004 高知県高岡郡四万十町茂串町3-13
電話:0880-22-0376
HP:https://at40010.jp
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監修:全国寺社観光協会

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