「そうだ 京都、行こう」は、JR東海が平安遷都1200年の平成6(1994)年に向けたキャンペーンとして、平成5(1993)年から実施。京都の寺院で感じられる春夏秋冬のベストシーンに、シンプルだが心に染みる言葉をのせ、ポスターやテレビCMを通じて多くの旅人を京都へ向かわせてきた。このポスターのキャッチコピーとCMのナレーションコピーを初回から生み出し続けているのが、伝説のコピーライター・太田恵美さん。
太田さんは、数行のコピーを紡ぎ出すためだけに京都に通い、見て、感じる。その思いを、いったん京都から離れたのちに、旅人の視点で言葉にしていく。こうした丁寧な作業を実に四半世紀も続けてきた。
ところが……、コロナ禍の影響で毎年春と秋に実施されてきたキャンペーンは中止となり、京都に足を運ぶことすらできなくなってしまった。京都を伝えたいのに京都に行けない。京都へ行ってほしいとも言えない。そんな状況下で彼女は京都に、街の歴史を刻む寺社に、今、何を思うのか。