絶対見逃せない!寺社Now的注目の美術展2025(2024年11月以降開幕)※随時更新

毎年恒例「寺社Now」注目の美術展ガイドが今年も登場。2025年も、寺社にゆかりのある文化財や仏教美術をテーマにした展覧会が全国各地で開催される。名品や貴重な文化財を間近に鑑賞できる美術展は、寺社文化への理解を深める絶好の機会となる。ミュージアムでの出会いをきっかけに実際に寺社を訪ね、その地に息づく歴史や信仰の背景に触れることも美術展の意義の一つ。そこで寺社Nowでは、展示と寺社巡りが結びつく注目の展覧会を厳選して紹介する。美術館で得た感動を、実際の寺社での体験へとつなげ、日本の文化をさらに身近に感じる一年を提案する。

〈目次〉
▪P1:2024年11月〜12月開幕
▪P2:2025年1月〜6月開幕
▪P3:2025年7月〜2026年1月開幕

企画展「禅寺の茶の湯」

相国寺承天閣美術館
2024年11月17日(日)〜2025年2月2日(日)

茶の湯の世界と禅宗には深い関わりがある。相国寺やその塔頭には、茶の湯にまつわる作品が数多く伝わり、茶の湯は禅僧の暮らしと密接に結びついてきた。仏教行事では本尊に茶を供える儀礼が行われ、書院では参列者に茶が振る舞われた。また、江戸時代には寺院内に茶室が設けられ、茶会が催されるなど、茶の湯は寺院文化の一部として受け継がれている。本展では、国宝1件、重要文化財6件を含む貴重な茶道具や、初公開の茶会記に記録された什物を含む約200点の名品が展示される。茶の湯と禅が融合した歴史を感じながら、茶道具の美とその背景にある文化的価値に触れられる内容となっている。

「九州真宗の源流」

福岡市博物館
2024年11月23日(土)〜2025年1月26日(日)

800年前、親鸞聖人が開いた浄土真宗は、念仏の教えを通じて全国各地に広まり、人々の心を惹きつけてきた。本展では、九州各地の真宗各派寺院が所蔵する法宝物を集め、念仏の教えが九州でどのように受け入れられ、発展したのかをたどる。九州各地60ヶ寺から提供された約165点の法宝物には、彫像、影像、絵伝、名号、御文章など、多岐にわたる作品が含まれる。普段は本堂や蔵に安置され、間近で見ることが難しい貴重な品々を通して、すべての人々を平等に救うという親鸞聖人の教えに触れる機会を提供する内容となっている。念仏の教えが地域の信仰や文化にどのような影響を与えたかを紐解きつつ、浄土真宗の広がりを示す貴重な展示となる。

特別展「運慶―女人の作善と鎌倉幕府―」

神奈川県立金沢文庫
2024年11月29日(金)~2025年02月02日(日)

鎌倉時代初期に活躍した仏師・運慶と、鎌倉幕府の有力な女性たちとの関係に焦点を当てた展示。卓越した技量で知られる運慶は、鎌倉幕府との結びつきだけでなく、北条政子や大弐局といった女性たちとも密接に関わりながら仏像制作を行った。本展では、運慶の造仏活動に女性たちが果たした役割を紹介。彼女たちが関与した仏像制作や寺院建立、仏事を通じて、運慶の作品がどのように女性の信仰や行動に支えられていたかを明らかにする。仏像を中心に、女性たちの宗教的・文化的な役割と運慶との関係が描き出される。

「小川晴陽と飛鳥園 100年の旅」

パラミタミュージアム
2024年11月30日(土)〜2025年1月26日(日)

1922年に写真家・小川晴暘(1894–1960)が奈良で創業した仏像撮影専門の写真館「飛鳥園」。仏像写真を芸術へと昇華させたことで知られ、中国の雲岡石窟や韓国の石窟庵、カンボジアのアンコール・ワットなど、アジアの文化遺産の調査・撮影にも尽力した。本展では、小川晴暘と息子・光三の写真作品を中心に、文化財保護と仏像写真の芸術性を追求した飛鳥園の活動を紹介。晴暘が遺したスケッチや拓本、『東洋美術』などの資料を通じて人物像にも迫る。近年撮影された写真も加え、100年の歴史を映し出す内容となっている。

特別陳列「春日若宮おん祭の信仰と美術」

奈良国立博物館
2024年12月7日(土)~2025年1月13日(月・祝)
春日若宮おん祭は、春日大社の若宮神を御旅所へ迎え、多彩な芸能を捧げる奈良の伝統祭礼。平安時代の保延2年(1136)に始まり、889年の歴史を刻む。祭礼では、風流行列や田楽、舞楽、猿楽などが行われ、古儀を守り続けてきた。本展では、おん祭の歴史と祭礼に関連する美術品や、春日大社への信仰を伝える作品を紹介。精緻な技巧が施された神宝をはじめ、近年行われた文化財復元の成果も展示される。春日信仰と祭礼がもたらした文化の豊かさや華やかさを、多様な作品を通じて感じられる展覧会となる。

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年記念特別展
「聖地巡礼―熊野と高野―」
第Ⅳ期 熊野信仰の美と荘厳 ―熊野速玉大社の神像と古神宝―

和歌山県立博物館
2024年 12月7日(土)~2025年 1月19日(水)

熊野速玉大社が伝える国宝の神像や古神宝類を通じ、熊野信仰の歴史と文化を探る特別展。平安時代前期に制作された国宝「熊野速玉大神坐像」と「夫須美大神坐像」は、威厳と優美を兼ね備え、1000年以上続く祈りを象徴する名品とされる。室町時代に足利義満が奉納した「桐唐草蒔絵手箱および内容品」など、国宝「古神宝類」から選ばれた宝物も展示される。華やかに装飾されたこれらの品々は、中世工芸の最高峰を示す作品群として注目される。さらに、宝物が火災や流出といった危機を乗り越え、保存修理を経て伝えられてきた歴史も紹介。関連展示では、熊野信仰の奥深さと多様な文化財に触れることができる。

入江泰吉「1960年代の奈良」

入江泰吉記念奈良市写真美術館
2024年12月7日(土)~2025年1月26日(日)
1960年代、高度経済成長期に撮影された入江泰吉の奈良大和路の風景を取り上げる特別展。写真のモノクロームからカラーへの移行期に、入江は「奈良らしい風景とは何か」を模索し、「秘すれば花」に象徴される日本の陰影の美を再考しながら新たな表現を追求した。モノクロ作品とカラー初期作品を通じ、入江が見出した「大和の美」とその表現の変遷を紹介。33点の展示作品が、変わりゆく時代と写真表現の試行錯誤を伝える内容となっている。

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監修:全国寺社観光協会

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