「輝け!お寺の掲示板大賞2023」受賞作品決定
毎年恒例「輝け!お寺の掲示板大賞2023」(主催:仏教伝道協会、協賛:全国寺社観光協会ほか)の受賞作品が12月5日、仏教伝道協会ホームページにて発表!
今年で6回目となる「お寺の掲示板大賞」は、寺院門前で見かける掲示板のうち印象に残った標語の写真を、X(旧ツイッター)あるいはインスタグラムに投稿して応募する企画で、標語内容の有難さ・ユニーク・インパクト等によって各賞が決定される。今年は応募期間(7月1日~9月30日)に過去最高の4107作品が集まった。主催する仏教伝道協会は「掲示板を通じて仏教の教えに触れてほしい」との期待を込めている。
ということで、寺社Nowも審査に参加して賞を選出しているが、今年の大賞ほか受賞した全14作品を速報する。掲示板をきっかけに、お寺に行こう!
▪お寺の掲示板大賞ホームページ:https://www.bdk.or.jp/kagayake2023/
〈過去の投稿作品数〉
第1回(2018年)700作品
第2回(2019年)925作品
第3回(2020年)1,677作品
第4回(2021年)2,887作品
第5回(2022年)4,093作品
第6回(2023年)4,107作品 今回過去最高!
※クリックで各年の受賞作閲覧可
〇2023仏教伝道協会大賞
「ことばだけ立派な者は敵である 釈尊」
撮影者アカウント名 @renkouzan
寺院名 妙円寺(日蓮宗・東京都)
講評:2018年から続く「輝け!お寺の掲示板大賞」はある意味「ことば」のコンテストですが、お釈迦様(釈尊)は「ことば」だけでなく、「行動」が伴わなければならないと戒めておられます。『長部経典』の『シンガーラ経』の中には、「ことばだけを大事にするものは友ではない(敵である)」という言葉もあります。立派な「ことば」を語るだけでなく、その「ことば」を実践することの重要性を改めて教えてくれたこの作品に今回は大賞を送りたいと思います。
〇仏教伝道協会本賞
「何が私を苦しめているのか。自分が握りしめている、その物差しです」
撮影者アカウント名 sennenji1597sub
寺院名 専念寺(融通念佛宗・大阪府大阪市)
講評:他人ではなく、自分が大切にしている価値観が自分自身を最も苦しめるということを知らせてくれる作品。仏教の教えをとおして、いま一度自分の物差し(価値観)を見つめなおしたいものです。
〇仏教伝道協会本賞
「三日坊主なら五日目にもう一回」
撮影者アカウント名 holyjitemple
寺院名 鳳林寺(曹洞宗・静岡県静岡市)
講評:「三日坊主」という言葉は僧侶になることを志し修行するものの三日で脱落してしまう者に由来しています。何事も継続が大切です。三日でやめてしまったら、五日目にもう一度チャレンジしてみましょう。
〇仏教伝道協会本賞
「孤立仏援」
撮影者アカウント名 @chokakuji
寺院名 超覚寺(真宗大谷派・広島県広島市)
講評:現代社会の中で「孤独」が大きな問題になっています。「孤立無援」とは、「頼るものがなく、ひとりぼっちで助けのないさま」を表したものですが、私たちは決してひとりではありません。仏さまは常にそばで温かく見守ってくださっているのです。
〇中外日報賞
「退く一歩」
撮影者アカウント名 @hiro5936
寺院名 浄喜寺(真宗大谷派・福岡県行橋市)
講評:人生は山あり谷あり、時には石ころだらけのいばらや険しい岩壁に阻まれる。心を落ち着け、自分が今どこにいるのかを確かめる瞬間に気持ちが切り替わり、見えなかったものが見えてくる。退く一歩も新たな一歩、新たな前進となる。
〇仏教タイムス賞
「てえへんだ てえへんだ この俺が死ぬなんて てえへんだ」
撮影者アカウント名 @akilayoshida
寺院名 光蓮寺ビハーラハウス(岩手県盛岡市)
講評:いわゆる三人称の死は他人事でどこか遠いことのように思いがち。しかし、自分のことだと気が付いたときが一人称の死となります。一人称の死を考えるのは大変なことです。それをユーモラスに表現しています。
〇文化時報賞
「ひざ・こし痛みの二刀流 頑張るあなたにMVP」
撮影者アカウント名 hiroberluti
寺院名 正念寺(浄土真宗本願寺派・福岡県豊前市)
講評:個人的に膝と腰の痛みに苦しんだ一年。「頑張るあなたにMVP」の言葉に報われました。本当は肩も痛いので「ひざ・こし・かた」の「三冠王」なんです。大谷翔平選手、来年は三冠王目指して頑張ってください!
〇寺社NOW賞
「お寺は私に会いに行くところ」
撮影者アカウント名 @hiro5936
寺院名 林松寺(真宗大谷派・大分県宇佐市)
講評:コロナ禍を経て、お寺の存在意義が改めて問われています。そうした中にあって、「お寺は私に会いにいくところ」というメッセージは、寺院へのいざないであると同時に、寺院とは何かという問いに対する自己規定と受けとめることもでき、今日性を感じます。
〇彼岸寺賞
「すべてかりもの」
撮影者アカウント名 @chokakuji
寺院名 超覚寺(真宗大谷派・広島県広島市)
講評:この言葉について超覚寺さんは「いずれかえすもの」とコメントをつけておられますので、「かりもの」とは「借り物」であり、「私のもの」という執着から離れるための法語と味わえます。しかし、「かりもの」を「仮(の)もの」と読むとどうでしょう。また違ったとらえ方ができそうな、そんな妙がある言葉です。
〇まいてら賞
「悲しみを通さないとみえてこない世界がある」
撮影者アカウント名 @hiro5936
寺院名 浄正寺(真宗大谷派・大分県中津市)
講評:この言葉は東井義雄氏の言葉です。深い悲しみを経験することは、他者の苦しみ、痛み、そして悲しみに対する想像力を養います。仏教の「慈悲」における「悲」は、深いあわれみの心や苦しみを取り除くことを意味します。悲惨な戦争をはじめ、この世界は大小の争いが絶えません。争いによって深く気づいた人々のもとへ飛んで行き、いたわることはできなくても、せめて心を向け、小さくても何らかの行動をする。悲しみから生まれる共感こそが自他をつなぎ、激動する世界に安心をもたらす希望の光になるのかもしれません。
〇お寺の窓口賞
「三途の川の渡し賃値上げ見送ります」
撮影者アカウント名 mskeibimanoken
寺院名 円成寺(臨済宗妙心寺派・島根県松江市)
講評:昨今の日本の急激な物価上昇、亡くなった人までもが物価上昇に振り回らせて欲しくないという残された方の思いこの賞を選びました。
〇寺子屋ブッダ賞
「うわさ話は賢き人のところで止る」
撮影者アカウント名 hiroberluti
寺院名 照蓮寺(浄土真宗本願寺派・大分県日田市)
講評:わかりやすい言葉で、素直にハッとさせられた掲示板でした。自分の見識は正しいと勘違いし、うわさ話を広めている自分の愚かさに気づかされました。
〇ここより賞
「疲れたらひと休み。 休んだらまた一歩。」
撮影者アカウント名 la source de vie@1947_2016
寺院名 潮泉寺(浄土宗・東京都文京区)
講評:この数年、私たちは感染症の危険に晒されながら生活をしてきました。「一休み」も大事なことですが、「また一歩」という言葉から、疲れやストレスの中でも動かなければならない人へのエールを感じ、選出しました。
〇笑い飯哲夫賞
「人生みちなりでいいのよ」
撮影者アカウント名 @chokakuji
寺院名 超覚寺(真宗大谷派・広島県広島市)
講評:人と違うことをしたい、と思いがちですが、実は人と同じことをする方が難しいんです。先人たちが歩いてきた「みち」はめちゃくちゃ複雑だけど照らされてもいて、だからそこを歩ける。最高のカンペが「みちなり」なんだと思ってます。
▪お寺の掲示板大賞に関するお問い合わせ先
(公財)仏教伝道協会 出版事業部
担当:江田智昭(えだともあき)
電話 03-3455-5853
メールアドレス eda@bdk.or.jp