新潮社は12月18日、『京都占領―1945年の真実―』(新潮新書)を発売した。著者は『ワシントンハイツ』などで知られる秋尾沙戸子氏。日米双方の史料と貴重な証言をもとに、進駐軍による戦後の京都の実態を描いた異色の歴史書だ。キャッチコピーは、「進駐軍から京都御所をお守りせよ! 1940年代と現在を往来する異色の京都紀行」。
本書では、1945年の敗戦直後、原爆投下の候補地として幾度となくリストアップされながらも紙一重で悲劇を免れた古都・京都が描かれる。四条烏丸には進駐軍司令部が置かれ、二条城脇の堀川通が滑走路に改造された。また、上賀茂神社のご神木がゴルフ場建設のために切り倒され、祇園歌舞練場が米軍専用ダンスホールに姿を変えたといった、知られざるエピソードも満載。戦争の爪痕と文化の力を今に伝える貴重な記録だ。
■目次
序章 原爆の標的リストから「京都は外した」
1 原爆ターゲットは「京都駅・鉄道博物館」
2 軍都と化した「伏見稲荷大社」界隈
3 GHQは「平安神宮」がお好き
4 司令官、「烏丸通」に執務室と私邸を置く
5 天皇さんが戻られる「京都御所」をお守りせねば
6 米軍家族住宅が造られた「府立植物園」
7 GHQに狙われた「上賀茂神社」の苦悩
8 軍政官執念の結晶「京都ゴルフ倶楽部」
9 昭和天皇を「仁和寺」門跡に 近衛文麿の画策
10 海軍と「京都大学」の核開発疑惑
11 「清水寺」音羽の水 期待された万能薬
12 義歯、風船爆弾、ダンスホール……「祇園」の変化はしなやかに
13 生き延びた花街「上七軒」と「北野天満宮」の名刀・鬼切丸
14 「聖護院」山伏と司馬 GHQと仏教 茶道華道の文化力
15 祇園祭山鉾巡行の復興 GHQへの口説き文句
終章 古都はなぜ残ったか──「京都の恩人」説を検証する
あとがき
【出典:PRTIMES 2024年12月18日】