仏身と同時並行で、台座の制作にも取りかかります。
今回、お釈迦様が乗られる台座は〝大仏座〟といって、上から順に蓮華、反花(かえりばな)、框台(かまち)というパーツで構成されたものになります。
蓮華は泥から美しい花を咲かせる蓮の花、反花はそのハスの花が満開になったところを、框台は泥沼の水面を表すとされています。仏教美術ではたびたび用いられる蓮の花ですが、よどんだ泥の中から美しい花を咲かせる蓮に、どんなにすさんだ心にも美しい仏性があるという意味を込めたのかもしれません。
さて、その台座に、ある仕掛けを作りました。それは施主様の未来の御子孫に向けて、どういった経緯でこのお釈迦様を建立したのかなど想いを手紙にして納入するというものです。
古い仏像を修復するときに、まれに中からいろいろな納入品が見つかることもあります。時に仏像はタイムカプセルのような役割をすることもあるんですね。この御仏像に納入した手紙も、遥か先の未来で御子孫の目に触れるように願っています。