姫路市出身の写真家・小川晴陽の展覧会、7月より開催
姫路市立美術館（所在地:兵庫県姫路市/館長:不動美里）は、姫路市出身で仏像写真を芸術の領域にまで高めた写真家・小川晴暘と、彼が創設した飛鳥園の歩みを紹介する特別企画展「小川晴暘と飛鳥園 100年の旅」を、7月6日（土）〜9月1日（日）の会期で開催します。
■展覧会概要
本展は、奈良を中心に各地の仏像を撮った写真家・小川晴暘(おがわ・せいよう 1894-1960) と、彼が創立した仏像撮影専門の写真館・奈良「飛鳥園」の活動を辿る展覧会です。
兵庫県姫路市に生まれた小川晴暘は、画家を志して上京しますが、奈良で仏像などの文化遺産に感銘を受けたのを機に写真に傾注するようになります。1922年、美術史家・書家・歌人として知られる會津八一の 勧めで奈良に「飛鳥園」を創業し、奈良の仏像や寺院を中心に文化財・文化遺産の撮影に精力を傾けました。撮影だけでなく東洋美術の研究にも熱中し、奈良に居を移した志賀直哉や京都大学総長も務めた濱田青陵をはじめ、文化人・知識人との交流も深めました。さらに奈良だけではなく、中国の雲岡石窟、韓国の石窟庵、仏国寺、インドネシアのボロブドゥール遺跡など、アジアの文化遺産の調査・撮影も積極的に行いました。
本展は、小川晴暘・光三親子の写真作品を中心に、文化財保護活動を支えると同時に仏像写真を芸術の域に高めた飛鳥園の活動を振り返ります。飛鳥園に保存されている写真およびその原板や機材にくわえ、小川晴暘が調査の際に遺したスケッチや拓本、 晴暘が発刊した『仏教美術』などの古美術研究専門誌や文献資料もあわせ、古美術・文化遺産を愛した小川晴暘という人物の姿にも迫ります。
小川晴暘《中宮寺 菩薩半跏像（伝如意輪観音菩薩像）右斜側面》
小川晴暘《雲岡石窟》
▲飛鳥園：https://www.askaen.co.jp
▲中国駐大阪観光代表処（CNTA）「雲岡石窟」：https://www.cnta-osaka.jp/6882.html
小川晴暘《新薬師寺金堂 十二神将・伐折羅大将像》©Askaen.inc
▲新薬師寺ホームページ：http://www.shinyakushiji.or.jp/
小川晴暘《東大寺法華堂 伝月光菩薩像》©Askaen.inc
▲東大寺ホームページ：https://www.todaiji.or.jp/
小川光三《興福寺 阿修羅像》©Askaen.inc
▲興福寺ホームページ：https://www.kohfukuji.com
小川光三《東大寺法華堂 不空絹索観音菩薩像と天蓋》©Askaen.inc
▲東大寺ホームページ：https://www.todaiji.or.jp/
小川晴暘《法隆寺 観音菩薩像（百済観音像）》©Askaen.inc
▲法隆寺ホームページ
https://www.horyuji.or.jp
姫路市立美術館のプレスリリース
開催概要
タイトル：小川晴暘と飛鳥園 100年の旅
会期：2024年7月6日（土）〜9月1日（日）
※休館日 月曜日（7月15日、8月12日は開館）、7月16日（火）、8月13日（火）
開館時間：10:00~17:00（入館は16:30まで）
会場：姫路市立美術館 企画展示室（〒670-0012 兵庫県姫路市本町68-25）
観覧料：一般1,000（800）円、大高生600（400）円、中小生200（100）円 ※( )内は20人以上の団体料金
問い合わせ：姫路市立美術館 電話番号 079-222-2288 主催:姫路市立美術館、毎日新聞社
特別協力：飛鳥園
講演会、ギャラリートークなど、会期中イベントを予定しています。
小川晴暘プロフィール
1894（明治27）年姫路市に生まれる。本名は晴二。 幼少時より絵を好み、1911（明治34）年上京して、写真師丸木利陽のもとで働きながら太平洋洋画研究所で絵を学ぶ。 1918（大正7）年《雪解の頃》で文展洋画部に入選。同年朝日新聞に入社した。奈良の文化財に魅せられ、入社と同時に奈良に居を移した。1922（大正11）年、歌人で美術研究家でもあった會津八一の勧めで新聞社を退社し、奈良に飛鳥園を開業する。以後仏像を中心に国内外の文化財の撮影、調査研究を行う。また文化人や美術研究者たちと交流を持ち『仏教美術』や『東洋美術』などの古美術専門誌を発行する。海外では中国山西省大同郊外にある雲岡石窟や、韓国慶州の石窟庵などを訪れて撮影と調査を行った。彼の写真は文化財の記録・資料という枠を超えて、仏像写真を芸術の域にまで昇華させたと評される。
日本で初めて仏像写真を芸術の域へ昇華させた写真家、小川晴暘と共に歩んだ彼の写真館・飛鳥園が見てきた「祈り」へのまなざし。その100年の旅が充実の展覧会と写真集で紹介されます！
