人が集い、つながる六郷満山へ。他地域との協働も視野に
――今後のご自身の活動について、どのような展望をお持ちですか。
同じように文化財を保有する地域・団体と連携していきたいです。ほかの地域と横のつながりを持ち、インバウンドを含めた観光施策を一緒に考えて、新しい取り組みをしていきたいですね。そのためには何らかの団体があったほうが動きやすいので、広域DMO(観光地域づくり法人)設立の可能性も探っています。
――これからの六郷満山に、どんなことを期待しますか?
私が取り組んでいるような、寺社をキーにした観光プロモーションは、じつは江戸時代にも全国の藩で行われていたんです。京都や伊勢、出雲などに門前町が生まれ、多くの参拝者が集い、まちが発展し、文化が築かれていきました。今後の六郷満山も、人がつながり、新たなコミュニティが生まれるような場所にしていきたいですね。そして多くの人に大分を、日本を、好きになってほしいと思います。
気づき:熱意が人をつなげ、人の輪が豊かさをもたらす
一度離れた地元の魅力と課題に気づき、30歳で帰郷した秋吉さん。苦境にある寺と地域の状況を俯瞰し、「寺社と文化財をきっかけにお金を循環させて、地域を『底上げ』する」という考えに至った。その信念が多くの人の心に届いたからこそ、この度のクラウドファンディングの成功に結びついたのだろう。
地域住民のよりどころである寺の住職という立場で、多くの人々とつながり、巻き込み、大きなムーブメントを起こす――秋吉さんのフィールドは、国東半島から全国へ広がっていく。
文殊仙寺
天台宗 峨眉山文殊仙寺(がびさん・もんじゅせんじ)
大分県国東市にある天台宗の寺院。国指定名勝。648年創建とされる。本尊は、智恵第一の仏・文殊師利菩薩(秘仏)で、「日本三文殊」の一つに数えられる。瀬戸内海国立公園内に位置する境内には、樹齢1,000年以上とされるご神木の大欅(ケヤキ)、日本最大とされる高さ9mの宝篋印塔(ほうきょういんとう)なども。宿坊「妙徳庵」では、写経・座禅の体験のほか、精進料理も味わえる(1泊1名1万8千円~)。
HP:https://www.monjyusenji.com/