シリーズ「参道をゆく」Vol.2 白山神社の総本宮・白山比咩神社(石川・白山市)表参道新名物「三食おはぎ」に込められた地域の思い

左)青少年の健全な育成を目指して造成した禊場での体験は、白山を訪れる国内外の旅行者にも喜ばれている、右)地元の人たちと共同で地域活性を考えている白山比咩神社の権禰宜・田中天善さん

そうこうするうちにやがてパワースポットブームが到来し、県外からの若い女性の参拝も増え始めた。これを機に神社と白山信仰をより多くの人に知ってもらおうと、観光の活用についての検討が始まった。参拝者が増えれば、地域にも活気が出る。

平成20(2008)年、鎮座2100年のタイミングには、禊場(みそぎば)を造成。平成29年から、白山市観光連盟と共同で禊体験ツアーを始めた。コロナ禍以前で年間200名程度が参加、県外からの参拝客が着実に増えてきている。

神社が国や市の観光施策に積極的に協力し、地域活性と認知度アップへ

さらに現在、観光を活用して神社と地域を元気にする、新たなプロジェクトが動き始めている。令和元(2019)年より、北陸信越運輸局が主体となって、北陸一帯の地域観光コンテンツの造成プロジェクトが実施されている。

白山市のテーマは「白山信仰息づく日常」。白山比咩神社も全面的に協力する形で、さらなる認知拡大をめざす。

「これを機に『白山信仰とは何か』をしっかり伝えていければと考えています。それが地域の活性化にもつながるはずです。神社の存在感を〝観光〟という手法で広めることで、地域を訪れる人が増え、かつてのように参道を多くの人が歩く未来をめざしたいですね」(権禰宜・田中さん)

地元ではさらに動きが出てきている。旧加賀一の宮駅裏はその昔、白山比咩神社が鎮座していた場所。白山市では、現在北陸鉄道の終点となっている鶴来駅からこの旧社地エリアで観光開発を進める協議も進めている。これが形になると、地域の願いでもある表参道周辺の賑わい再生にも光が見えてくる。

地域のために、神社ができることを実行し協力する。白山比咩神社には、いつもそうした考えが根底にある。まちが賑わいを取り戻すことは、信仰が伝わっていくことにもつながる。地域の崇敬を集め続けている神社は、常に地域と共に歩んでいく。

北参道駐車場も地域に開放。土産物店のほか、イベントも開催している。なかでも白山市観光連盟が主催し、白山市の山と海の幸が楽しめる「うらら白山秋祭〜どんじゃら市〜」は、県内外から多くの人が訪れる人気のイベントとなっている

鉄道でアクセスできた時代は「表参道」がまさに表の顔だったが、周辺道路が整備されたことで次第に「北参道」へと人の流れが移っていった。白山市内から手取川沿いにサイクリングロード「手取キャニオンロード」も整備されていて、アクセス手段は複数あるものの、今のところそれらがうまくリンクできていない。旧社地を含めて面としての展開を意識することで新たな往来を生み出すことができるかもしれない


白山比咩神社
〒920-2114
石川県白山市三宮町ニ105-1
TEL:076-272-0680
http://www.shirayama.or.jp


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監修:全国寺社観光協会

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