寺を実験台として、観光まちづくりと人材育成の機運を!
大泰寺の西山住職が一番の課題だと感じたのは、那智勝浦を訪問する人の滞在時間の短さだ。旅行者は観光名所の那智の滝と紀伊勝浦駅周辺を観光したら、ただちに町外へと移動してしまう。
そこで町の南側に位置する大泰寺がもう一つの拠点となれば、南北をめぐり、滞在時間が増えるはず。そう考えて、2019年7月にクラウドファンディングなども活用して宿坊を開設するに至った。
10年後には大阪と和歌山を結ぶ阪和自動車道が延伸し、寺の近くにインターチェンジもできる。それまでには施設や周辺を整備して那智勝浦の観光拠点にしたい。西山住職は、計画的に自坊とその周辺地域の活用を考え、着々と進めている。
「地元のライオンズクラブにも所属し、地域でのネットワークづくりも積極的に心がけています。それと実は、糖尿病の予防にも力を入れています。当寺のご本尊は薬師如来で、また周辺はお茶の産地でもあります。お茶は血糖値を下げる効果があるとも言われていますよね。そうしたお寺や地域のコンテンツを活用した新たな名所づくりも考えたりしています」