—動画には、裏テーマもあると聞きました
行動や意識における課題を解決していくには、それぞれの「違い」を説明することが必要になります。国際化・グローバル化が進んだ世界では、観光だけでなく日本で働く外国人も増えています。
ひとつの国の中に属性の違うさまざまな人が一緒に過ごすような状況があり、彼らは日本の風習に囲まれて暮らしますが、そもそもバックグラウンドが違います。そんな中で相互理解を進め、彼らにも文化や伝統を守ってもらうには、丁寧に言葉にして、理由を説明する必要があると思います。
しかし、その説明の前に、私たち自身が自分の見方についてまず知る必要があるのではないかと思うのです。私たちはたとえ日本人同士であっても、同じものに対して異なる見方を持っています。
これは伝統や宗教についても同じことが言えます。日本人同士でも、伝統宗教側が考える伝統宗教と、参拝者が思っているものでは、恐らく違いがあるでしょう。ましてや外国人であれば、まったく違う理解をしているものもあると思います。
ですが、互いに「自分が正しい」という認識を持っていると、そこから抜けだすのは難しいのです。「自分が正しい」ということにとらわれてしまっていては、視野が狭くなっていくばかりです。
文化や伝統は、受け継いでいくためにも、私たちの中で暗黙知になっていることに気づいて、違いを理解するための説明が必要になります。
知る、知ってもらう、双方にとって大切なのは、人やものの見方を知ること。そして自分の見方を変えていくこと。それが「まなざしをデザインする」ことだと私は考えています。
世界は正解のない時代に突入しました。だからどのような見方をするかで、受け取り方や次の選択が変わってきます。人のものの見方を理解すると同時に、自分がどういうものの見方をしているかを知る重要性こそが、動画の真のテーマです。
世界各地で起こっている分断も、こうした一人ひとりの「まなざしのデザイン」から始めることが大切なのではないかと、私は考えています。
◆動画『Seeing Differently』は以下よりご覧いただけます
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