日本におけるデスカフェの、今を知る一冊が誕生
『デスカフェ・ガイド〜「場」と「人」と「可能性」〜』を企画し執筆(代表)したのは、日本におけるデスカフェの特徴を場の多様性と捉え、研究テーマとしている京都女子大学の吉川直人助教だ。吉川氏は青森中央短期大学で勤務していた2018年、青森県初のデスカフェ立ち上げに関わったことをきっかけとして、全国のデスカフェに参加し、フィールドワークを開始。2020年9月には、多くの開催事例を知ってもらうとともに、各地のデスカフェ主催者の交流を目的とするデスカフェサミット「DeathCafeWeek2020」を企画開催した。こうした活動をふ踏まえ、国内の事例とあわせて日本初の『デスカフェ・ガイド』をまとめて上梓した。
<デスカフェ・ガイド 目次>
第1章/デスカフェとはどんなところか
第2章/デスカフェ開催にあたって
第3章/デスカフェでどんなことを行うのか
第4章/デスカフェの事例紹介
・京都 ワカゾー Deathカフェ(僧侶が実践、お寺のデスカフェ)
・青森 sanshien de café(社会福祉法人が営むデスカフェ)
・栃木 Café Mortel(看護師が主催するデスカフェ)
・東京 デス・カフェ@東京(精神保健福祉士が主催者のデスカフェ)
・神奈川 デスカフェ〜死をめぐる対話〜(図書館司書・読書会主催のデスカフェ)
・東京 マザーリーフ・デスカフェ(葬儀社のデスカフェ)
第5章/デスカフェサミット
第6章/デスカフェのわたしたちの時代
本書によると、10年ほど前に始まった日本のデスカフェはdeathcafe.comのガイドラインを参考に実施していた時代から、独自の工夫、ワークショップ形式などの変遷をたどり、コロナ禍の令和2年2月以降は、各地でオンライン開催されている。また、この増加傾向の大きな要因が多死社会の広がりにある点も興味深い。なお本書では、デスカフェを開催している主要団体のメンバーも共同執筆者として名を連ね、各団体の実践事例を紹介している。デスカフェに参加したい人、開催したい人のどちらにとっても、日本におけるデスカフェの今を知り、今後を考えるための必読書と言える。
『デスカフェ・ガイド〜「場」と「人」と「可能性」〜』
出版社:クオリティケア
執筆代表:吉川直人
執筆&編集:萩原真由美
発売日:2021年5月26日
定価:2,420円