「お客さん」から「つくり手」へ。基金が広げる地域活動の輪
――2020年には「カリー寺基金」がスタートしました。
基金は、中平住職の発案で始まりました。「カリー寺」で得られた出店料などの収益や、クラウドファンディングで集まった寄付を元手に、地域の新しいプロジェクトを支援する取り組みです。
これまで、2回の募集に15組ほどの応募があり、大賞には10万円、特別賞には5万円を補助。審査にあたっては、「まだまだこれからだけど、おもしろそう」といった、僕たちだからこそ支援できるプロジェクトを選出しました。たとえば「まごころSHOP」。薬局の隣にある空間を利用して、地域の人たちの作品販売などを行うコミュニティスペースを運営する活動です。
地域活動はいろんな協働・コラボが必要です。プロジェクトが補助金の対象になる・ならないに関わらず、応募してくれた人たち同士の交流会を行うなど、横のつながりを醸成する機会にもしました。
――地域の人たちがどんどん「つくり手」に回る循環が生まれているんですね。
これも「カリー寺」がなければ展開できなかったことです。また、基金のためのクラウドファンディングには、遠方からも寄付をいただきました。檀家さんからの布施だけでなく、地域内外のさまざまなところからお寺にお金が入り、尼崎のために還元されているんです。新しい寺院のあり方を考えるにあたって、試金石となるような取り組みだと思います。