お寺という空間が「住民みんなで地域をつくる」意識を生む
――「場」としての西正寺が、地域のさまざまな取り組みを呼び起こしていますね。
「カリー寺」が呼び水になり、西正寺が新しいことをやってみたい人たちの受け皿になりました。地域活動に関わりたいと尼崎に移住し、檀家さんが所有する空き家に引っ越してきてシェアハウスとして利用する若者も出てきていて、さまざまな活動につながっているんです。
――これからの「寺院と地域」を考えるうえで、大きなヒントになりそうです。
お寺は広い空間がありますし、死や生について考えられる、時間がゆっくり流れる場です。ただ僕はそれ以上に、寺院の「しくみ」に可能性を感じています。お寺は協同組合的な価値をもともと持っていて、「自分たちにとって必要だから支える」という檀家さんの意識によって支えられているんです。そのしくみを生かして、より多くの人が「ともに何かをつくる」機会を得られる場になると良いと思います。
自分たちが一からつくりあげ取り組んだことは、ほかでは味わえない唯一無二の体験になり、達成できたら大きな自己肯定感を得られます。それは個々の幸せや豊かさにも直結していくのではないでしょうか。